11月は過労死等防止啓発月間。長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果
厚生労働省が公表した、長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果によると、24,042事業場に対し監督指導が実施され、17,594事業所(73.2パーセント)で労働基準関係法違反が認められた。主な違反としては、違法な時間外労働が8,904事業場(37.0パーセント)、賃金不払残業があったものが1,551事業所(6.5パーセント)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが4,628事業所(19.2パーセント)であった。また、監督指導を実施した事業場のうち、9,676事業所(40.2パーセント)対して、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるように、4,301事業所(17.9パーセント)に対して、厚生労働省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するように、それぞれ指導が行われた。
令和2年度監督指導実施事業場数
違法な時間外労働があった8,904事業所において、1か月で80時間を超える事業所が1,878件あり、そのうち93事業所は1か月で200時間を超えていた。
時間外・休日労働時間数が1か月で80時間を超えるとして監督指導を受けたビルメンテナンス業者の例では、労働者5名について1か月100時間を超える時間外・休日労働が認められ、36協定の締結当事者の要件を満たさず時間外労働をさせていたことについて是正勧告し、時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するように指導。また、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して1年以内に5日以上の年次有給休暇を取得させていなかったことについても是正勧告が行われた。
厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けて積極的に取り組むとしており、11月の過労死等防止啓発月間における過重労働解消キャンペーン期間中は周知・啓発等の活動を集中的に実施する。