一般

警備業の歩みとかかわりを有する事件等

警備業の歩みとかかわりを有する事件等

 

1962年(昭和37年) 7月7日日本に初めて警備業が誕生(日本警備保障(株)現セコム(株)。1973年「SECOM」(セコム(Security Communication))。アメリカでは、1850年に警備業が誕生

その後、日本の警備業が広く世の中に認知される過程において、欠かせないのが、やはり東京オリンピック、そして大阪万国博覧会である。

1964年(昭和39年) 10月、東京オリンピックの選手村などの警備が社会から高い評価と信頼を得て、警備業に対する認知度が高まる。

・東海道新幹線開通(10月1日)

・東京オリンピック開催(10月10日)

1965年(昭和40年) 7月綜合警備保障(株)設立。その後全国的に警備業者が誕生する。

10月には、テレビドラマ「ザ・ガードマン」がスタート。宇津井健さん主演で大ヒットし、ザ・ガードマンという言葉が警備員のイメージとなり、警備業の知名度が一躍高まることになる。

1966年(昭和41年) 日本初のオンラインのよる安全システムが開発され、サービスが開始された(公衆電気通信法(第64条)特例により専用回線の使用が認められたことによる。)。
1968年(昭和43年) 8月警備業者数79社(40年以降47社設立)、警備員数7,917人

主たる業務は、①常駐警備、②巡回警備、③警報警備、④保安警備、⑤特殊警備、⑥現金等の護送警備、⑦その他(調査業務・交通整理・駐車場管理・保険代理店業務)。いわゆる第1次黄金時代といわれた時期である。

43年7月の実態調査を基に「警察庁保安部報 12月号 警備保障会社の実態と問題点(警察庁防犯少年課 神尊氏 執筆)」の実態調査では、

・ノウハウの時代(警備業の秘法や秘訣(欧州式警備))

・制服公務員の採用が多く、その経験を警備業務の中に取

り入れてきた。

・欧州型方式、警察・消防・自衛隊方式、守衛方式

・ノウハウを得て、枝分かれによって警備業者が誕生した。

・1位常駐、2位巡回、3位船舶 4公営競技場

・業務別及び実技教育中心の教育であった。

・ 43年の調査では、在職1年未満者は、1社平均54%と

なっており、定着率が悪い。人事管理及び待遇面に問題が

ある。

問題点として、犯罪の頻発、犯罪前歴者が多いことなどを挙げて、法規制の必要性が述べられている。

1969年(昭和44年) 機械警備システムが警察庁指定108号連続射殺魔事件の犯人逮捕のきっかけを作り脚光を浴びる。
1970年(昭和45年) 3月~9月、大阪府吹田市で日本万国博覧会(大阪万博)が開催。雑踏警備のあり方が研究・実施され、警備業の意義が浸透・認知された。後に、NHKの「プロジェクトX」でその入場規制の警備方法が紹介され、話題になった。
1971年(昭和46年) 5月法規制の必要性が国会で議論される。

8月 警察学論集 「警備営業を巡る問題点(防犯少年課理事官 左藤氏)」警備業の規制すべき問題点として、

・成田空港における反対派とガードマンのトラブル

・チッソ(株)側のガードマンと株主のトラブル

・報知新聞社の労働争議へのガードマンの介入

・護身用具の携帯の禁止理由となる事案続発(傷害事件)

参考;第068回国会 地方行政委員会 第26号

1972年(昭和47年) 5月全国警備業協会連合会設立(後の全国警備業協会)各県協会の参加は、26県(340社)。昭和52年12月に全都道府県が加盟した。

連合会は、次の事項を決議して、定款に規定し、活動方針を明確にしてその決意をあらわにした。

① 会員相互の連絡協調

② 会員相互間の意見及び情報の交換

③ 警備業務の調査研究及び技術の向上

④ 警備業資機材の研究開発

⑤ 功労者の表彰等

連合会結成は、警備業界が制定される警備業法にどう適切に対応するか、その最初の取組みが「業界創造」すなわち、全国組織の団体結成であった。

このように、業界が教育に対する重要性を掲げた(③・④)ことは、警備業法の第1条に対する反省をもって、第11条の教育の義務化の意義(人入れ業務)を真摯に受け止め、警備員の教育事業という重要課題に向け第一歩を踏み出した瞬間でもあった。

7月警備業法公布(同年11月1日施行)。西ドイツは1972年(昭和2年)法制定(警備業は免許制)

-参考-

昭和42年9月 警備業の法規制について警察庁で研究がはじまった。

警察学論集20巻9号~10号の立法考査局長永野実さん執筆の深部には、デパートの宝石や貴金属の盗難が当該施設を警備する警備員であり、このような事件が報道されたのを受け、後述のように述べておられ、また、アメリカ、ドイツの警備法の係る法令を研究され、それを発表された。

一般社会及び依頼者の保護の観点から、警備保障の営業活動の健全確保の上からも、その営業活動が単に民法上の規律に委ねておくだけではなく、公法上の面からもこれに最小限度の規制をする必要がある。

警備業法の制定を受け、全国警備業協会連合会は、当時の一連の

不祥事案から警備業の社会的信頼を回復するために、1)警備業者のモラルの確立、2)警備員の質の向上に真剣に取り組むことを第一に掲げたことから、「教育・人づくりこそ警備業の基本」という業界理念が生まれた。

札幌オリンピック開幕(2月3日~2月13日)

1973年(昭和48年)

 

 

 法的根拠のない交通誘導であっても、責任を問われる。「警備員の誘導が一般社会通念上の信頼の原則」によって有効である旨の最高裁の判例(最高裁S48・3・22)

その後の交通誘導警備員に係る事故に影響を及ぼす。

1978年(昭和53年)  ・成田国際空港開港(5月20日)
1979年(昭和54年)  ・東京サミット開催(6月28日~29日)

・警備業厚生年金基金設立(4月1日)

1980年(昭和55年) 4月1日全国警備業協会連合会が法人化され、社団法人全国警備業協会として名称変更

昭和56年12月に業界の地位向上のため警備業法改正について要望書を国家公安委員会並びに警察庁長官宛てに提出した。

その要旨は、次のとおり。

① 届け出制を許可制

② 警備業務の内容の整備(交通誘導を警備業から除外する。)

③ 許可基準の厳格化

④ 警備員の欠格自由の厳格化

⑤ 警備員に対する教育体制の整備

-参考-

警備業法違反1,513件(行政処分55件)

1982年(昭和57年)

 

 

 

 7月16日改正警備業法公布(58年1月15日施行)

警備業法の改正に伴い、警備員指導教育責任者及び検定が制度化された。

・ホテルニュージャパン火災事件(2月8日)

・羽田沖日航機墜落事件発生(2月9日)

1985年(昭和60年)  ・労働者派遣事業法公布(7月5日)
1986年(昭和61年)  7月「警備員等の検定に関する規則」が制定され、全国警備業協会が国家公安委員会から指定され、名称を「特別講習」として、同年11月第1回交通誘導警備業務2級講習会を静岡県において開催した。

・労災保険料率上がる(5/1000から6/1000)。

・男女雇用均等法施行(4月1日)

・三菱銀行現金輸送車3億5千万円襲撃事件発生(11月25日)

・東京サミット開催(5月4日~5日)

1987年(昭和62年)

 

 

 

 

 9月警備業法施行規則の一部が改正され、都道府県公安委員会が行う講習が都道府県警備業協会へ委託される道が開かれ、さらに、全国警備業協会が行っている全国教育幹部研修会への参加が「都道府県公安委員会の講習講師への資格要件」となったことから、当該幹部研修会の役割、位置付けが明確となった。

・大韓航空爆破事件(11月29日)

1989年(平成1年)

 

 ・昭和天皇崩御・皇太子明仁親王即位(1月7日)

・平成に改元(1月8日)

・弁護士一家殺害事件発生(11月4日)

1990年(平成2年) ・国際花と緑の博覧会(大阪)(4月1日~9月30日)
1994年(平成6年)

 

 

 警備業法施行規則の一部が改正され、警備業関係の届出様式の一部が変更された。

・改正労働基準法施行、週40時間の労働制の実施(4月1日)

・関西空港開港(9月4日)

1995年(平成7年)

 

 ・地下鉄サリン事件発生(3月20日)

・警察庁長官狙撃事件発生(3月30日)

1996年(平成8年)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月警備業法施行規則の一部が改正され、「特別講習の定着化」、「指教責の機能化」を図ることとし、2つの教育制度を連動・活性化させ、教育の実効性を確保しようとするものである。

また、この改正は「教育に熱心な業者をバックアップし、しない劣悪な業者は排除する」という法の精神を明確にした。よって、教育懈怠の悪質業者は摘発、そのため一時処分が急増し、業界は、教育に関する認識を大きく変ることとなり、都道府県協会の教育幹部の養成が強化され、指教責の研修会に実技の導入が図られるとともに、特別講習の受講が義務教育に反映されることとなったため、

特別講習の存在がクローズアップされ、講習回数が大幅に増え、特別講習の業務種別の内容が教育の基準としての役割を果たすこと

となった。

平成9年には、国土交通省設計労務単価に「交通整理員」として労務単価が示される。

2000年(平成12年)

 

 ・九州・沖縄サミット(7月21日~23日)

・警察庁「モデル審査基準」を公開(7月)

2001年(平成13年)

 

 ・大阪教育大学付属池田小学校児童殺傷事件発生(6月8日)

・明石市民祭り雑踏事故発生(8月10日)

・米国同時多発テロ事件発生(9月11日)

2002年(平成14年)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11月警備業法施行規則の一部が改正された。

その要旨は、次のとおり。

① 暴力団員等に係る欠格事由を追加
② 精神機能の障害者に係る欠格事由の見直し
③ 変更の届出手続きを簡素化
④ 認定取消事由を追加
業界概要
・警備業者数 9,463社
・警備員数 436,810人

国土交通省設計労務単価「交通整理員」が「交通誘導員」に変更される。

・最高裁が「仮眠時間は労働時間」と認定した(2月28日)。

・平成14年警察白書で「警備業は自主防犯行動を補完又は代行する重要な役割を担っている」と言及した(10月31日)。

2003年(平成15年) 2月27日護身用具の携帯の禁止及び制限に関する都道府県公安委員会規則の基準改正

8月26日警察庁は、「緊急治安対策プログラム」を策定(警備業が国民の自主防犯活動を補完又は代行する生活安全産業として犯罪抑止対策体系の中に位置付けられた。

さらに、12月18日政府の犯罪対策閣僚会議が「犯罪に強い社会の現実のための行動計画」を策定(生活安全産業としての警備業の育成と活用、事業者・施設管理者による自主警備の促進が盛り込まれた。)

2004年(平成16年)

 

 5月26日改正警備業法公布。17年11月21日施行

改正の要旨は、次のとおり。

1 警備業者の専門的な指導教育体制を高めるための改正点は、次

のとおり。

① 警備員を現場で指導する警備員指導教育責任者に対する講

習制度を導入(区分ごとにより専門的な講習内容に改正)

② 都道府県公安委員会による警備員指導教育責任者に対する講習の制度を導入(現任指導教育責任者講習の受講義務)

2 警備員としての知識・能力を保証する「警備員の検定」をより普及させるための方策は、次のとおり。

① 社会の安全上で重要な一定の警備業務に検定を受けた警備員を配置する(特定の種別への検定合格警備員の配置義務)。

② 登録講習機関制度の導入など警備員等の検定等の手続きを法制化(国家資格として民間企業等の参入を促し、公安委員会には検定を実施する義務を課した。)

3 警備業務の依頼者を保護するための改正点は、次のとおり。

① 警備業者に契約の際の書面の交付を義務づける(重要な事項の書面による説明義務)。

② 警備業者に苦情の解決の努力義務を課す(発生した苦情は丁寧に処理・解決する)。

2005年(平成17年)

 

 11月21日改正警備業法施行

・中部国際空港開港(2月17日)

・日本国際博覧会開催(愛知)(3月25日~9月25日)

・個人情報保護法施行(4月1日)

・国家公安委員会登録講習制度スタート

≪国家公安委員会登録団体≫

〇 一般社団法人警備員特別講習事業センター

〇 有限会社 航空保安警備教育システム

2006年(平成18年)

 

 5月25日警察庁が配置基準の認定基準を公表

・改正道路交通法施行(駐車監視員制度スタート)

2007年(平成19年)

 

 8月8日警察庁は、警備業法に基づくモデル審査基準を公表

・長崎市長銃撃事件発生(4月17日)

・探偵法施行(6月1日)

・新潟県中越地震発生(7月16日)

・新遺失物法施行(12月10日)

2008年(平成20年)

 

 7月10日警察庁は、警備業法の解釈運用基準を公表

警備員が50万人を超えた。

・改正パートタイマー労働法施行(4月1日)

・裁判員制度始まる(5月12日)

・秋葉原通り魔事件発生(6月8日)

・北海道洞爺湖サミット開催(7月7日~9日)

2010年(平成22年)

 

 6月11日警察庁「雑踏警備業務の配置基準」を施行

・APEC首脳会議開催(11月13日~14日)

2011年(平成23年)  3月11日東日本大震災発生
2012年(平成24年) 9月8日2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会がブエノスアイレスで開かれ、IOC委員の投票で7日(日本時間8日)、東京が選ばれた。1964年以来56年ぶりで、2回目の開催はアジアで初めてとなる。大会運営能力の高さや財政力、治安の良さなどが評価され、3都市による戦いを制した。
2015年(平成27年)  2月2日警察庁は、登録講習機関の登録要件及び講習会の実施基準に関する細目的な解釈運用基準を公表

国家公安委員会の3番目の登録講習機関として、「警備人材育成センター」が登録される(2月5日)

4月に11月1日を警備の日として一般社団法人日本祈念日協会に正式に登録された。

2017年(平成29年) 4月3日東京オリンピック2020年大会に向けて、複数の民間警備会社から構成される「東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体(以下、東京2020大会警備JV)」が設立された。

11月24日2025年国際博覧会(万博)の開催国を決める博覧会国際事務局(BIE)総会が23日パリで開かれ(日本時間24日)未明に行われた加盟各国の投票で日本(大阪府)が選ばれた。大規模な万博としては2005年の愛知県以来で、大阪府では1970年以来55年ぶりの開催となる。過去の万博の開催実績や運営能力の高さなどが評価され、3か国による争いを制した。

 警察庁による平成28年の警備業の概況は、次のとおり。

1 警備業者等の状況

(1) 警備業者の状況

警備業法第4条に基づく認定業者(以下4条業者という。)数は、平成28年12月末現在、9,434業者で、前年より92業者(1.0%)増加している。

(2) 警備員の状況

警備員数は、平成28年12月末現在、54万3,244人で、前年より4,897人(0.9%)増加している。

警備員の雇用別状況では、常用警備員は47万6,221人、臨時警備員は6万7,023人で、警備員総数に占める臨時警備員の割合は、12.3%である。

また、警備員のうち、女性の警備員は3万1,447人で、全警備

員数の5.8%を占めている。

(3) 警備業者の警備員数別状況

警備業者(4条業者)の警備員数別状況は、警備員数100人未満の警備業者が8,419業者で、全体の89.2%を占めている。

(4) 警備業者の営業所の数別状況

平成28年12月末における全国の警備業者(4条業者)が全国の都道府県に設けている営業所の総数は1万4,914営業所である。

警備業者の営業所数別状況では、主たる営業所(1営業所)のみ設けている警備業者は7,847業者で、全体の83.2%、営業所の数が5以下の警備業者は9,162業者で、全体の97.1%を占めている。

(5) 警備業者の他の都道府県における警備業務実施状況

平成28年12月末現在、警備業の認定を受けた都道府県以外の都道府県において営業所を設けている警備業者(9条前段業者)は延べ2,476業者で、前年に比べ32業者減少し、認定を受けた都道府県以外の都道府県において営業所を設けずに警備業務を実施している警備業者(9条後段業者)は延べ4,799業者で、前年に比べ、183業者増加している。

2 検定等の実施状況

(1) 検定合格証明書の交付状況

平成28年中における検定合格証明書の交付状況は、1級検定が2,166件、2級検定が14,499件である。

(2) 警備員の検定合格証明書の保有状況

平成28年12月末現在、検定合格証明書を保有している警備員の級別及び種別の状況は、1級検定が延べ25,783人、2級検定が延べ160,501人である。

3 その他

(1) 警備業法等違反検挙件数の年別推移

最近5年間における警備業法等違反検挙件数の状況は、下表のとおりである。

24年 25年 26年 27年 28年
警備業者数 19 14 11 25
警備業以外
合   計 21 11 15 26

(2) 警備業者に対する行政処分の実施状況

最近5年間における警備業者に対する行政処分の実施状況

は、次のとおり。

平成28年中における警備業者に対する行政処分の実施状況

をみると、指示が234件、営業停止が9件、認定の取消しが1件の総数244件であり、前年より11件(4.5%)減少した。

(3) 売上高

売上高の総額は、平成28年末に一般社団法人全国警備業協会

が8,758業者を対象に調査したところによると、3兆4,236億

9,480万円であった。

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