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逗子市がALSOKなどと崖崩れ予兆検知の実験 | 傾斜計使い地表面の変位を計測

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逗子市がALSOKなどと崖崩れ予兆検知の実験 | 傾斜計使い地表面の変位を計測
設置された傾斜計(右)。左側は計測管理用の装置
設置された傾斜計(右)。左側は計測管理用の装置

 神奈川県逗子市は2021(令和3)年6月から、綜合警備保障(ALSOK、東京)と防災計測機器メーカーのオサシ・テクノス(高知市)と共に、崖地の法面の変位を検知して危険の予兆をとらえるシステムの構築に向けた実証実験を始めた。同市は崖地が多く、昨年2月には突然崩れた崖の下敷きになって女子高校生が亡くなる痛ましい事故も起きている。

 同市都市整備課によると、実験を行う場所は同市新宿4丁目と桜山6丁目。どちらも近年の大雨や台風の後に崩れた急斜面や崖がある所だ。とくに新宿4丁目の実験地は披露山公園下を通る遊歩道脇の草地の急斜面で、昨年6月に崩れて土砂が民家近くまで迫った場所。過去に何度も崩落した箇所だという。急斜面の土地は民有地のため、今回は、法面に続く遊歩道脇の市有地に筒状の傾斜計3本を差し込んだ。

傾斜計が設置された急斜面。昨年、左側の家直前まで土砂が押し寄せた
傾斜計が設置された急斜面。
昨年、左側の家直前まで土砂が押し寄せた

 傾斜計はオサシ・テクノスが新たに開発を進めている製品。斜面の傾きを0.01度単位で検知する機能があり、データを15分ごとに記録する。1時間に0.1度の傾きの変位があると傾斜地は崩れる危険があるとされ、これを予兆として察知するのが狙いだ。数値は実験関係者がネットを通してリアルタイムでモニターでき、「予兆」があれば市職員ら関係者に自動的にメールで通知もする。得られた数値は、3月に崖地の防災に関する協定を結んだ地盤品質判定士会に分析を依頼するという。

 ALSOK広報部は、今回の実験で警備員の駆けつけは行わず、同社が取り組む「防災」に関連するサービスの一つとして提供する可能性を確かめるのが目的だとする。同社とオサシ・テクノスによれば、傾斜計はこれまで工事現場の安全管理や災害発生個所の2次被害防止の目的で使用されることが多く、予防目的での利用は少ないという。今回のシステムは簡単設置・低コストを目指して開発されたもので、安全対策の一つとして活用を広げ、地域の安全・安心に貢献したいとしている。同市は10月ごろまで実証実験を行い、成果が確認できれば来年度以降に本格運用を目指す方針だ。                            
 

(阿部 治樹)

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