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パーソナルモビリティを活用した公道での巡回警備実証実験

セキュリティ警備業
パーソナルモビリティを活用した公道での巡回警備実証実験

 セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:尾関一郎)は、2021年6月28日から、東京都江東区青海にあるテレコムセンタービルならび青海フロンティアビル周辺の公道(歩道ならびに横断歩道)を含む巡回警備において「歩行領域EV(警備実証用モデル)」活用の実証実験運用を開始した。

 同社では、広域エリアにおける巡回警備業務の効率化と警備員の負担軽減を目的に、トヨタ自動車株式会社と連携して巡回警備業務における「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の活用検討を行っており、これまでに大型ショピングセンターやスタジアム、空港等の道路交通法の適用対象外となる私有地内での実証実験を実施してきた。そこで蓄積した活用実績・ノウハウから、周囲からの注目度が高く犯罪抑止効果が向上する。警備員の視点が高くなることで広範囲の確認が可能になる。巡回時間を短縮でき、巡回警備員の体力的な負担が軽減され、暑さ対策としても有効。AED、拡声器等さまざまな装備品を携帯しての巡回警備が可能。操作が容易で短時間の乗車訓練で使用できる。といった効果等が確認されている。

「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を使って巡回する警備員
「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を
使って巡回する警備員

 しかし、社会実装に際しては、関連法制度等の制約により、巡回警備ルートとなる建物周辺の公道等、私有地以外の場所では巡回警備の実実情に沿った形での走行ができないことが課題だった。

 一方、巡回警備のような業務においてパーソナルモビリティを活用することには社会的な意味があるという観点から、東京都が国に対し、国家戦略特区における規制改革提案として、セコムの事例を含む「公的な事業等における搭乗型移動支援ロボットの活用」を提案〈※1〉。このような背景の下、昨年12月に警察庁から出された「『搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験』等に係る取扱いについて(通達)」〈※2〉、ならび、本年5月に国土交通省から出された「公道実証実験事業に用いる搭乗型移動支援ロボットの基準緩和認定要領について」〈※3〉を受け、国家戦略特区内で「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の公道走行が一定の条件下で可能となり、このほど、通常歩行で行っている建物外周の公道(歩道ならびに横断歩道)での巡回警備に「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を使用して、運用上の課題を見出すことを目的とした実証運用を実施することとなった。

「歩行領域EV(警備実証用モデル)」運用にあたっては、原動機付自転車の運転に必要な運転免許と警備員資格を保有し、あらかじめ乗車訓練を受けた者に限定。乗車の際はヘルメットを着用。走行場所は、巡回警備の対象となる建物周辺の歩道ならびに横断歩道等を含む、あらかじめ許可を得たエリアに限られる。歩道ならびに横断歩道走行時は、最高速度を時速6km以下とし、一般歩行者と混在する場所を走行する場合には減速、十分な距離を取る等の安全対策を施して行われる。

 今後もセコムは、「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を活用した新しい警備の検証を重ね、高品質で効率的な新しい警備の実現を追求するとともに、警備員の負担軽減にも取り組んでいく。

※1:2019年4月11日 内閣府 国家戦略特区 国家戦略特別区域会議 東京圏(第25回)
https://clk.nxlk.jp/K8Zpjkbs
※2:2020年12月25日 警察庁「搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験」等に係る取扱いについて(通達)
https://clk.nxlk.jp/DZFxQyHO
※ 3:2021年5月12日 国土交通省「公道実証実験事業に用いる搭乗型移動支援ロボットの基準緩和認定要領について」の一部改正について(令和3年5月12日付け国自基第5号)

 

(藤原 広栄) 

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