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コロナ禍における花見の警備と感染拡大防止対策

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コロナ禍における花見の警備と感染拡大防止対策

 東京都や大阪府等で「まん延防止等重点措置」が適用され、全国で新型コロナウイルス感染拡大のリバウンドが懸念される中、日本列島では今年も全国的に花見の自粛が促されている。2度目の緊急事態宣言が解除されてから約1週間後、桜が満開の時期を迎えた都内でも桜まつり等のイベントは軒並み中止、シートを敷いての宴会が禁止された。それでも、自粛疲れの反動もあってか桜の名所は多くの人で溢れた。今年もコロナ禍での開花となってしまった桜の名所では、どのような警備体制が敷かれ感染防止対策が施されたのだろうか。

中目黒駅前での雑踏警備

 例年は300万もの人出で賑わう「中目黒桜まつり」。中止となった昨年も約150万人もの花見客が目黒川沿いの桜並木道に訪れた。今年は昨年以上に多くの人出が予想され、目黒区では区長がビデオメッセージで花見自粛を呼びかけ、看板の設置数やアナウンスを増やす等して、昨年以上に力を入れて自粛要請が行われた。警備員も増員(昨年は17日間で延べ491人)され、「お花見は自粛をお願いしています」と書かれたプラカードを持ち、「立ち止まらないでください」と声かけをして、沿道に立ち止まっての鑑賞や飲食を控えるように促していた。

日の出橋での通行規制

 目黒区道路公園課によると、目黒川沿いの道路に人溜りができないようにしたのが今年の警備ポイントだったという。そのため、桜が開花する前から目黒区広報課による花見自粛の呼びかけを強化。人溜りができやすい橋付近に重点的に警備員を配置して歩行者が車と接触しないように誘導しながら、写真を撮り終えた人に移動を促しマスクをしないで会話している人にマスクを付けるように声かけをする等して対処。人の流れが最も多い「日の出橋」付近では警備員が一部通行規制して、一方向に人が回遊するようにする等の感染拡大防止対策が施された。また、最寄りの中目黒駅前でも雑踏警備に加え、花見自粛を呼びかける案内が行われた。

さくら通りは右側一方通行規制

 上野公園でも園内での宴会は昨年に引き続き全面的に禁止。①酒類を伴う宴会行為、②集団でシート等を広げての飲食を伴う行為、③野外卓を飲食等で長時間利用する行為を控えるように促す等、自粛や感染拡大防止を呼び掛ける看板を設置。最も花見客が密集する「さくら通り」には中央分離帯を設けて右側一方通行に規制。地面には「宴会禁止」の注意書きを貼る等して感染拡大防止のための協力を求めた。

道路にも宴会禁止の貼り紙

 東京都東部公園緑地事務所によると、警備員は例年の花見時期と同様に、昼夜それぞれ9人体制で巡回警備を実施。昨年はさくら通りの通行が一部規制されたが、今年は緊急事態宣言中の3月初旬から一方通行にして人の流れを整備。花見客が集中しそうな桜の木がたくさん植えられている場所は立ち入りを規制する等、早い段階から準備にとりかかったこともあり大きなトラブルや苦情はなかったという。花見の時期は終わったが、感染状況によって園内の規制は続けられる。

弘前公園の桜
提供:弘前さくらまつり情報サイト

 これから満開時期を迎える青森県弘前市の弘前公園では、4月下旬(4月23日〜5月5日予定)から「弘前さくらまつり」(https://www.hirosakipark.jp/sakura/)が開催される。弘前市をはじめとする主催者側は、人の密集を避けるために園内全域を左側通行、一部区域を一方通行にする等して感染拡大防止対策を施すほか、インターネットによる混雑情報の発信、警備員による誘導等を行って密集防止を図る。露店等の出店は例年より1時間短縮して営業。酒類は販売されず、指定の場所以外での飲食、食べ歩きは禁止となる。また、園内9カ所の入り口と市役所や弘前駅ほか園外4カ所に受け付けを設け、入場者にはマスク着用の確認、手指消毒、検温、連絡先の記入を求める。連絡先は事前にインターネットでも登録可能。受け付けした人には証明用のリスバンドが配られる。来園を予定している人には、来園予定日の2週間前から体温を計測し、37.5度以上の発熱や、咳、喉の痛み等の症状がある場合、来園を控えるように呼びかけている。
 弘前市観光部観光課では、桜が咲けばどうしても人が集まるため、感染防止対策を施し警備体制を整えたほうが感染リスクを抑えられると考え開催に踏み切った。そのため、例年よりも警備員を増員して通常の雑踏警備、巡回警備に加えて密にならないように声かけを実施。至る所に看板を設置しアナウンスでも注意喚起を促すという。弘前市では同様のシステムで2月には弘前四大まつりのひとつ「弘前城雪燈籠まつり」を実施しており、万全の体制を整えたうえでの開催となる。

 今年もコロナ禍で迎えることになった桜の季節。桜前線は北上中だが、群れず騒がず静かに花を愛でてもらいたい。

(藤原 広栄)

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