清掃・洗浄結果を数値化して管理 | キッコーマンバイオケミファ株式会社
しょうゆ醸造で培ってきた発酵技術を活かし、健康と安全への取り組みを進めているキッコーマンバイオケミファ株式会社(東京都港区、松山旭社長)が今回唱えるフレーズは「清掃が見える!! 清掃がわかる!!」。担うのは「ルミテスターSmart」。スマホより少し大きい程度の測定器を使って掃除現場のきれいさが簡単に検査できるのだという。
ここでポイントになるのが「RLU」という単位で表される数値。簡単にいえば、すべての生き物に共通なエネルギー物質である「ATP」を光らせて測る数。ATPは食べ物の残りや微生物にも含まれることから、この量(RLU)を見ればその場所がどれだけきれいに掃除されたかが分かるというわけだ。
ATPを光らせるのに使うのが「ルシフェラーゼ」という酵素。この酵素はホタルが光る仕組みに関わっていて、かつてはホタルからしか抽出できなかった。1gのルシフェラーゼを得るのになんと10万匹ものホタルが必要だったそうだ。さらに、苦労して手に入れたルシフェラーゼには熱や界面活性剤に弱いという難点もあった。
しかし、これらの難点をバイオ技術で克服し、同社は1990年代にATP測定試薬「ルシフェール」を製品化、併せて測定装置「ルミテスター」も商品化した。その後も改良に取り組み、10万円を切る製品が出せるようになったという。
試薬はペンシル型の「ルシパック」になっていて、ドアノブやタッチパネルなどをふき取って測るタイプと水などの液体をすくい取って測るタイプの2種類がある。
掃除した場所に応じて試薬を使って測定器に差し込めば10秒で結果が表示される。
場所によって求められるRLU値は異なるが、例えば洗面台なら清掃前7,422RLUが清掃後273RLU、ドアノブなら前4,299RLUから後195RLUといった具合にきれいさがどれだけ改善されたか一目瞭然だ。
すでに全国チェーンの回転ずし店やハム工場などに導入されている。同社営業第2部国内衛生検査グループの担当者は「全国の保健所でも利用されているんですよ」と、信頼度に自信を見せた。