セキュリティ

衆院選 全国警備業連盟は自公を支援方針 | 個別候補については各都道府県連盟が判断

セキュリティ警備業
警備業関連重要ニュース

 2021(令和3)年の衆議院議員選挙は10月19日公示、同31日投開票されるが、全国警備業連盟(理事長:青山幸恭・綜合警備保障社長)は選挙で自民党と公明党を支援する方針を明らかにした。各選挙区で個別のどの候補者を支援するかについては地域の事情を考慮し、各都道府県連盟の判断に任せる。10月4日に開いた理事会で選挙について協議し、決めた。支援を通じ、全警連が8月に自民党と公明党の関係国会議員に提出した要望書に盛り込んだ「警備業法の見直し」や「感染症対策及び災害対策における警備業の位置づけの明確化」などの実現を加速させたい考えだ。

 全警連事務局によると、全警連としては自民党の中でも「警備業の更なる発展を応援する議員連盟」の事務局長を務める鬼木誠(おにき・まこと)氏(福岡二区)や事務総長の木原誠二(きはら・せいじ)氏(東京二十区)ら同議員連盟の約30人、公明党では「警備業問題議員懇話会」の会長を務める佐藤茂樹(さとう・しげき)氏(大阪三区)ら同議員懇話会の約15人を支援する対象として想定している。各議員には全警連として推薦状を発行し、全警連の会員に対して支持を呼びかける。

 全警連は、「警備業と警備員の社会的・経済的地位の向上と警備業の発展を促進させるための政治活動を強力に推進」(青山理事長)することを目的に2019(令和元)年5月に設立された。2021年9月30日現在で、28都道府県1764社が会員として参加している。自動車や電力などのように業界出身者を国会議員に送り出すことは「将来的にはあり得るが、現状では組織基盤を固めることが先決」(全警連事務局・森川幸裕氏)とし、まずは警備業協会と連携して業界の要望を政治に反映させることを目指すという。

 全警連が発足してから初めての総選挙。最大限の公正さが求められる選挙だけに、警備業業界としての立ち居振る舞いにも注目が集まる。森川氏は「試行錯誤の連続ですが、会員の皆さまにはとにかくコンプライアンスを徹底して下さいとお願いしています」と話していた。
 全警連が提出した要望書の概要は以下の通り。(下線と太字部分は原文に従った)

 

(阿部 治樹)


「予算・税制等に関する要望について」

1.警備業法の見直し

多発する自然災害への対応を含めた警備業の社会の安全に寄与する役割の増大、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会での警備の結果を踏まえ、コロナ後も見据えた警備業法の在り方の見直しを検討いただきたい。 特に、災害発生時等の緊急事態に、警備業が的確に対応し、その役割を果たして貢献することができるよう、警備業法において緊急事態の弾力化措置を新たに規定することを検討いただきたい。

2.感染症対策及び災害対策における警備業の位置づけの明確化

(1)新型インフルエンザ等特別措置法に警備業務を位置づけるとともに、「指定公共機関」に警備事業者の追加をお願いしたい。

(2)自然災害対策における警備業の役割は重要性を増しており、災害対策基本法に警備業務を位置づけるとともに、「指定公共機関」に警備事業者の追加をお願いしたい。

3.適正な警備業務の推進

(1)適正な警備料金の積算
官公庁関係の警備業務の積算に当たっては、警備員不足の解消が図られるよう、最低賃金の引上げを踏まえ適正な労務単価の設定にご配慮いただきたい。

(2)最低制限価格制度やプロポーザル方式の導入及び分離発注の徹底等
公正性・透明性・客観性の観点からも、国、都道府県、市町村が警備業務を発注する入札においては、最低制限価格制度やプロポーザル方式を導入し、最低制限価格引き上げにより、不適格業者を排除できる仕組みをお願いしたい。また、各種イベントや大規模な会議等において警備業務部分のみを分離発注するよう徹底をお願いしたい。また公共工事での交通誘導警備業務では「自家警備」を原則として認めないよう適切に対応願いたい。

4.職場環境の改善

(1)警備員の安全健康管理
不特定多数者との応接・接触という業務の特性に鑑み、特段の配慮をお願いしたい。また、自然災害時の警備対応や交通誘導警備業務等における労働災害について、資機材等の総合的な支援をお願いしたい。

(2)新型コロナワクチン接種
エッセンシャルワーカーという警備業の特性を踏まえ、警備従事者全員が接種できるよう配慮いただくと共に、3回目接種が実施される場合は特段の配慮をお願いしたい。

(3)航空保安検査業務のあり方
保安検査の責任主体を現在の航空会社から国、空港管理会社等の公的組織への移行を検討することと、実働時間ではなく拘束時間への変更等、早急な対応をお願いしたい。

(4)女性警備員及び高齢者が働きやすい職場環境の整備
女性用トイレや更衣室の設置等、女性警備員が働きやすい職場環境の整備及び3密を避ける等のコロナ対策を充実させるための支援の拡充をご検討いただきたい。併せて仕事と家庭の両立支援やハラスメント防止のための支援の拡充もご検討いただきたい。 具体的には、女性の活躍推進のための助成金の支給額の引き上げ及び手続の簡素化をご検討していただくとともに、更なる支援策の拡充についてご配慮いただきたい。
また、高齢者雇用推進のための更なる助成金の支給額の引き上げ、手続の簡素化及び制度の拡充についても、ご検討いただきたい。

(5)外国人雇用問題について
特定技能制度等の警備業への導入に総合的なご支援をお願いしたい。

(6)警備業務等のDX化について
一般社団法人全国警備業協会にて「行政手続のデジタル化に関する要望事項」として、①警備業法上の各種手続きのオンライン化、②申請・届出手続きのワンストップ化等15項目の要望事項を既に提出しており、着実に実行できるよう必要な支援をお願いしたい。 また、警備業務に係るデジタルトランスフォーメーションに要するシステム関係のハード・ソフト等諸費用の助成金・税額控除についてもご検討いただきたい。

5.中小企業への支援

(1)事業承継税制手続きの簡素化及び法人税率軽減等の継続をお願いしたい。

(2)新型コロナウイルス禍で無利子・無担保融資を受けた者の借り換えに対して、金融機関の柔軟な対応を、また、雇用調整助成金でも延長等の柔軟な対応をお願いしたい。

(3)グリーン社会実現へ脱炭素化に向けてのグリーン成長戦略等の推進に際して、経営基盤の弱い中小企業への積極的な金融・財政上の支援をお願いしたい。

 岸田首相おひざ元の広島県警備業連盟のホームページ。同県連盟は個別候補予定者の名前を挙げて支援を呼びかけている。

Security News for professionals main center ad
Security News for professionals main footer ad