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横浜市が「防災力向上マンション」認定制度を開始 | 大阪市、仙台市などが先行、防災力高める一役に

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横浜市が「防災力向上マンション」認定制度を開始 | 大阪市、仙台市などが先行、防災力高める一役に

 横浜市は2021(令和3)年度から新たに「地域防災力向上マンション認定制度」をスタートさせる。台風や豪雨などの風水害が激甚化・頻発化していることを踏まえ、災害に強いマンションを増やし、地域住民を含めた防災力を高めるのが目的だ。耐震性や浸水対策、地域住民も利用できる防災備蓄庫、避難場所の設置といったハード面だけでなく防災マニュアルの策定、地域と連携しての防災訓練の実施などのソフト面でも対策を取っていることが認定の基準となる。大阪市や仙台市などで同様の制度が先行実施されていて、マンション選びの目安にもなっているという。

 認定基準はハード面とソフト面3段階ずつの計6段階。1段階クリアすると★が1個付与され、すべてクリアすると★6個の認定となる。第1段階の基準は「災害時にマンション単体で自立が可能」であるかということ。ハード面で①耐震性、②耐火性、③浸水対策、④防災備蓄庫・防災設備の各項目をすべて満たしていれば★1個。ソフト面では①自主防災組織、②防災マニュアル、③防災訓練、④飲料水等の備蓄のすべてを満たせば★1個だ。第2段階は「マンションと地域との連携が可能」、第3段階は「マンションと地域との連携がより充実」。満たすべき項目は第1、第2段階共通で、ハード面では①地域の一時避難場所、②地域の浸水対策、③地域共用の防災備蓄庫・防災設備、④地域交流施設だ。このうちのひとつでも満たせば★2個となり、すべて満たせば★3個となる。ソフト面の項目は①地域との協力体制、②地域との防災訓練、③地域交流活動。こちらもひとつで★2個、すべてで★3個だ(下図参照)。

認定基準のイメージ。横浜市の「令和3年度建築局予算概要」の説明資料から
仙台市の認定プレート

 市は、制度の活用に向けて「認定プレートの交付」「防災アドバイザー派遣」「市ホームページでのPR」のほか、「市街地環境設計制度を活用した容積率等の緩和」も実施する予定だ。容積率等の緩和について横浜市建築局住宅政策課は「現在どんな形で緩和するのか検討中。秋には公表したい」としている。認定プレートのデザインも策定中だという。

 こうした認定制度は大阪市が阪神・淡路大震災の教訓を受けて2009(平成21)年8月に始めた「防災力強化マンション認定制度」が皮切り。同市ではこれまでに54棟のマンションを認定し、市のホームページで紹介している。仙台市も東日本大震災を受けて2013(平成25)年4月に「杜の都防災力向上マンション認定制度」を開始した。こちらも54棟を認定し、市ホームページに掲載している。マンションの開発・販売事業者は認定を広告・宣伝に利用し売れ行きの増進につなげられるメリットがあり、購入者側も安全・安心の判断材料として活用しているという。東京の中央区、墨田区、荒川区でも同様の制度を実施しており、今後、さらに広がる可能性が高い。

大阪市の制度を紹介するチラシ

(阿部 治樹)

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