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新型コロナウイルス感染症に便乗したワクチン接種詐欺

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新型コロナウイルス感染症に便乗したワクチン接種詐欺

いまだ終息の兆しがみえないコロナ禍。感染の恐怖、自粛生活によるストレス、失職、困窮する生活等、我々を疲弊させ続けているが、加えてそんな弱みにつけこんだ悪質な詐欺が横行している。

「PCR検査を受けられるが予約金が必要」「高齢者には給付金が出るので、受給手続きのため市役所の職員がうかがう」「お金に困っているなら融資する」等、現金を騙し取ろうとする不審な電話が相次いでいる。警視庁によると都内では昨年、感染症拡大に便乗した不審な電話が153件確認されており、今年に入ってからも全国で同様な電話が鳴り止まない。特に目立つのがワクチン接種に便乗した特殊詐欺と思われる不審な電話だ。

警視庁幹部によると、1月6日午後、目黒区の80歳代女性宅に「感染症対策係」を名乗る男から「高齢者はワクチンを打てる。予約金10万円を振り込んで」と電話があった。女性が不審に思い、目黒署に通報した。目黒区では同日、別の高齢者宅2軒にも同様の不審電話があったという。(読売新聞)

1月6日、兵庫県芦屋市在住の80代女性の自宅に、保健所職員を名乗る男から「ワクチンを2月から受けることができる。高齢者は先に受けられるので、ワクチン接種のために10万円振り込んでほしい」という内容の電話があった。さらに、9日、芦屋市で別の80代女性自宅に、市の保険福祉局員を名乗る男から「75歳以上の高齢者は、5万円支払えばPCR検査を受けることができる」という電話があったことが確認された。いずれも芦屋署へ相談があり、被害を未然に食い止めることができた。(ラジオ関西)

愛知県警津島署によると、1月17日正午頃、愛西市の80代男性宅に、男の声で「ワクチンを打つには予約が必要」「予約をするために予約金を払ってください」と電話があった。同日午後6時頃、女の声で再び同じ内容の電話がかかってきたという。男性は東京であった同様の電話を報道で知っていたため応じず、同署に相談した。(中日新聞)

長野県警と飯田保健所によると、1月18日、飯田下伊那地域の男性の携帯電話に、製薬会社社員を名乗る男から「ワクチン製造会社と連携しているので、事前申し込みがあれば、1月中に先行してワクチンを打つことができる」と電話があった。男性は、飯田保健所に「予約金を振り込めばいいのか」と相談して詐欺だと気付いたため被害はなかった。(毎日新聞)

警察当局によると、同様の電話は10件以上に上っていて、厚生労働省や保健所の職員を名乗り、80代の高齢者を標的にしているのが共通した手口だという。政府はワクチン接種費用の無料化を決めており、国や自治体の職員が電話でワクチン接種を勧めることはない。新型コロナウイルス感染症に便乗したこのような特殊詐欺は、個人だけでなく企業も狙われるケースもある。警察庁や自治体等では警戒を呼びかけている。

ちなみに、警察庁が発表した、令和2年11月までの特殊詐欺発生状況は、認知件数12,291件(前年同期比−3,112件、増減率−20.2%)、被害額245,7億円(前年同期比−41,1億円、増減率−14.3%)となっている。

(藤原 広栄)

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