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全国のビルメンテンテナンス事業者がコロナ禍で受けた影響

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全国のビルメンテンテナンス事業者がコロナ禍で受けた影響

コロナ禍で業務の縮小や消失に見舞われる等、多くの事業者が甚大な被害を被っている。ビルメンテナンス業界も例外ではない。昨年、新型コロナウイルスが全国のビルメンテナンス事業所にどのような影響を及ぼしたのか。また、事業所がどのようなことに苦慮し、感染防止対策業務を行っていたのか。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会(住所:東京都荒川区、会長:一戸隆男)が毎年実施している第51回実態調査報告書「ビルメンテナンス情報年鑑2021」(https://www.j-bma.or.jp/data/42018)のコロナ禍緊急調査によって、その概況が明らかになった。

コロナ禍における最大の問題・課題として最も多かったのは、「仕事の受発注(仕事の減少・消失)」で、約40%の事業所に該当。月商規模別では「1億円以上」の事業所が51.3%と高めで、「1千万円未満」はやや低く35.8%。傾向としては、大規模な事業所ほど仕事量の減少に危機感を抱いたようだ。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

業務上の影響・変化については、「顧客の休業・事業縮小により仕事が減った、もしくはなくなった」が最も多く70%近い数値。「顧客より仕様削減・減額等の要請があった」事業所も60%超あり、本社に比べ支社・営業所にその傾向が多く見られる。業務量や金額の減少は、規模が大きい事業所ほど大きな影響を受けたと推察できる。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

労務管理上の影響・変化については、「仕事が減少したため、従業員のシフト調整が困難になった」が最多で、規模の大きい事業所ほど数値が高い傾向にある。「コロナ感染への不安等により、従事者が退職・休職(を希望)した」ケースも30%前後と高い数値を示しており、特に東京は40.4%で全体より10ポイント高かった。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

物資確保の状況については、「衛生用品等の物資確保に苦慮した(入手困難、価格上昇等)が80%超で最多。特に東北では96.5%の高い結果となった。「従事者の感染防止に苦慮した(規則やマニュアル等の未整備)も50%超と高い数値を示し、多くの事業所が苦慮したことがうかがえる。規模が大きい事業所においては、テレワーク導入に苦慮した傾向も見られた。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

消毒・防疫業務の実施について、「従来は行っていなかったが、業務として開始した」が最多。コロナ禍を機に40%以上の事業所で消毒・防疫業務を行うようになり、従来から業務として行っている所と合わせると、約65%の事業所で消毒・防疫業務を手がけていることがわかった。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

消毒・防疫業務を要請されたかどうかについては、「すでにビルメンテナンス業務を受注している施設保有者から要請があった」が70%超と最多で、「公的機関や行政、地方自治体から要請された」は30%に至らず大きな差があった。規模が大きい事業所ほど、要請された数値に高い傾向が見られた。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

今後の消毒・防疫業務への取り組み方については、「ニーズがあれば積極的に実施していきたい」が約30%で最多。一方で「基本的に実施する予定はない」という事業所も同じくらいあり、積極的派と慎重派に考え方が分かれる形となった。「実施を前提に検討している」を含め、積極的な姿勢が見られたのは比較的規模の大きい事業所だった。

出典:ビルメンテナンス情報年鑑2021

コロナ禍において全国ビルメンテナンス協会は、「ビルメンテナンス業における感染拡大予防ガイドラインの作成」「協会会費の減免」「企業経営に資する情報提供(補助金・助成金。税制措置等)」といった施策・活動を行い、協会会員から一定評価を得た。今後の支援としては、「統一的な消毒・防疫手段方法等のマニュアルの確立」が70%に近い数値で最多。「新型コロナ発生現場における消毒作業の実例公開」「作業従事者の講習会」「薬剤の適合性についての情報交換」も40%以上にのぼるなど、全国ビルメンテナンス協会に寄せる期待が大きいことも浮き彫りにされた。

(藤原 広栄)

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