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マンションの管理状態を市場が評価する制度にクローズアップ

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マンションの管理状態を市場が評価する制度にクローズアップ

マンション管理の基本となるのが共有部分の長期修繕計画とそれに向けた修繕金の積み立て額である。

マンション総合調査では、2018年に長期修繕計画を作成している管理組合の割合は、90.9パーセントではあるが、25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合は54パーセントにとどまるという。また、修繕積立金が不足しているマンションは35パーセントあり、これらは、暮らしの安全安心のためにも管理組合の財政健全化が課題だという(2020.2.10掲載記事の続報)。

官民挙げてマンション管理のレベルをアップさせそれを流通価格へ反映させる仕組みを構築

マンション管理会社359社が加入する、マンション管理協会は、不動産流通関係も含めたマンション関連業界11団体が協力して、マンション管理適正評価研究会を立ち上げ、管理情報を開示し、管理の質が市場価格に反映される必要性やその評価基準について検討して、管理状態を示す、管理組合体制、収支状況、耐震診断等の170項目にわたる項目を評価して、それをポイント化してS~Dまでの5等級で表示し、購入者がマンションを購入するときの参考にしてもらおうとする趣旨であるが、その評価が高ければ、マンションに係るマンション総合保険等を下げることもでき、保険料が下がればそれが管理費にも反映され、居住者へのメリットともなるので、保険会社へも働きかけるという。

政府も「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、マンションの管理については、地方公共団体の役割を強化して、管理の適正化の推進を図ることがポイントとしている。その柱の一つが「管理計画認定制度」であり、その中で、①長期修繕計画が適正であること、②適切に修繕積立金が積まれていること、③総会が定期的に開催されていること、④管理組合が適正に運営されていることなどを、地方公共団体が評価認定することなど、認定基準の詳細は、国土交通省が検討し、2年以内の改正法施行を目指すという。

そのほか改正法では、立て替え円滑化に関しても、マンションの敷地売却をしやすくする仕組みや老朽化するマンションを含むマンション敷地の分割を可能とする制度なども創設するという。

マンション総合調査によると、居住者の70歳以上の割合は増えており、マンションの高齢化も進み、築40年超は現在81.4万戸、それが10年後には2.4倍、20年後には4.5倍になるという。このような情勢を見る限り、マンションの安全性と居住性を維持するためには、前述の課題克服とその成果を評価する仕組みの構築は、早い時期に希望したいものだ(日本経済新聞2020.4.20)。

また、警備業では、機械警備業務でマンション管理の一部を補完代行しているが、現在の治安情勢を踏まえれば、マンションの安全性を高める部分において、警備会社の特性を生かした警備診断によって、建物の防犯強化の必要性や警備診断によって防犯性の高いマンションには、㊜マークを提示するなど、防犯評価も入居者がマンションを選ぶ評価の一つとなり得る制度による貢献はできないものか。

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