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バリアフリーマップのアプリ公開 | パラ開催後の利用も視野に乗り換え・徒歩案内

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バリアフリーマップのアプリ公開 | パラ開催後の利用も視野に乗り換え・徒歩案内

 オリンピック・パラリンピック等経済界協議会と日本電信電話株式会社(NTT)、国土交通省は2021年8月19日、車いすを利用する人などが安心して会場を訪れることができるよう、パラリンピック競技会場周辺を対象にしたバリアフリーマップアプリ(無料)の提供を始めたと発表した。無観客の開催にはなるが、大会関係者やボランティアによる活用が期待されている。今回のアプリは9月5日までの公開だが、対象を広げた同様のものが今後も利用できる見通しだ。マップ作製支援事業にはセコム株式会社と綜合警備保障株式会社も参加している。

 アプリは「Japan Walk Guide」。NTTが、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の協力を得て開発し経済界協議会が公開したもので、⑴バリアフリー徒歩ルートを考慮した乗り換え検索、⑵徒歩ルート案内、⑶周辺施設情報、⑷駅混雑情報、の機能と情報が組み込まれている。⑴では、「らくらくおでかけネット」の駅構内バリアフリー情報を踏まえた会場までの検索ができ、それぞれの徒歩距離、ルートのバリアフリー度も表示する。⑵では、競技場までのバリアフリールートを傾斜や段差の有無などを文字と経済界協議会のボランティアが撮影・収集した現地の写真で表示する。⑶では、周辺の多機能トイレや案内所、休憩所など移動の際に役立つ情報を提示。それらへのバリアフリールートも表示する。間違いを見つけたら○、×ボタンで修正依頼も可能だ。⑷では、鉄道会社の協力を得てNTTドコモが開発した「駅の混雑予測情報」を提供する。

「Japan-Walk-Guide」の開始画面
「Japan-Walk-Guide」の開始画面
同検索画面。通常の乗り換え案内と似ている。横浜市内から日本武道館までを選んでみた
同検索画面。通常の乗り換え案内と似ている。横浜市内から日本武道館までを選んでみた
同現地画面1。経路に顔マークによる「キツさ」が示されている
同現地画面1。経路に顔マークによる「キツさ」が示されている
同現地画面2。最も「キツい」顔の箇所の写真には傾斜のある坂道が写っていた
同現地画面2。最も「キツい」顔の箇所の写真には傾斜のある坂道が写っていた

 アプリの「素」になっている情報は、国交省や経済界協議会が収集したバリアフリーデータ。国交省はユニバーサル社会の構築に向け、車いす利用者や高齢者らハンディキャップを持つ人がストレスなく移動できる環境づくりを推進するために、官公庁や公園などの公共施設と鉄道駅などのバリアフリー情報と国土地理院地図情報などをデータ化して提供している。経済界協議会では活動のテーマの中に「誰もがストレスなく快適に過ごせる共生社会の実現」も掲げており、バリアフリーマップ情報収集を続けてきた。この活動には、富士通株式会社を幹事企業にセコムやアルソックなど16社が参加。呼びかけに応じた約1900人のボランティアと共に札幌から伊豆まで、オリンピックスタジアムや日本武道館など全国41カ所の競技場とそれらの最寄り駅98カ所を対象にバリアフリー情報の収集をした。国交省によれば、情報収集には同省のガイドラインに準拠しオープンデータ化を想定したタブレット用の情報収集サポートツール「MaPiece」とウェブ上の「歩行空間NWデータ整備ツール」が使われた。入力は選択方式で機器やウェブに詳しくない人でも使えるということで、ボランティアの人たちはタブレットを実際に道路において方向や斜度を測定したという。

 アプリへはパソコンやスマートフォンからアクセスでき、簡単に利用できる。アドレスは「https://transit.2020.ntt/」。   

 

(阿部 治樹)

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