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「全国警備業連盟」設立から1年半余り

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「全国警備業連盟」設立から1年半余り

コロナ禍の中、24道府県で連盟が発足

 警備業の社会的・経済的地位の確保・向上と警備業の発展を促進するための政治活動を目的とする「全国警備業連盟」(青山幸恭・理事長)が設立されてから1年半余り。これまで政府与党に対して2020、21各年度の予算・税制などに関する要望書を提出したほか、新型コロナ感染症拡大を受けて国に3回の要望書を出すなどの活動をしてきた。各地の連盟設立にも取り組み、12月までに24道府県で組織ができ、会員数も1,600社に達したという。

 全警連事務局によれば、24番目に連盟が発足したのは群馬県。年明けに設立総会を開く予定だ。実は今年度の各地連盟設立の目標は30だった。しかし、国をあげてコロナ禍の対応に追われる中、連盟も例外ではなく、活動が制約されることもあって目標を達成するには至らなかった。それでも、逆境ともいえる状況でこれだけの数にすることができたのは、業界関係者の多くが連盟の果たす役割に期待していることの表れともいえそうだ。

 全警連は21年度の予算・税制などについて、予算の概算要求締め切り前の9月25日に、自民・公明両党に「警備業界の声」としての要望書を提出した。昨年に続いての要望で共通しているのは、公共工事をはじめ官公庁関係の警備業務の積算では適正な労務単価を設定すること、公的機関が発注する警備業務で最低制限価格制度を導入して適正価格を維持するとともに不適格業者を排除できる仕組みを導入すること、イベントや大規模な会議などでは警備業務部分のみを分離発注すること、女性の活躍推進のため助成金の支給額を引き上げ手続きを簡素化すること、などの点。今年はさらにコロナ禍を踏まえて、新型インフルエンザ等特別措置法と災害対策基本法の「指定公共機関」に警備事業を追加して感染症対策と災害対策における警備業の位置付けを明確にすることを求めた。また、新型コロナ感染者が入院・療養する施設で警備業務をする警備員にPCR検査を優先的に実施することとワクチンを優先接種することも要望した。こうした一連の要望活動を会員に伝える「全国警備業連盟ニュース」第3号で青山理事長は「コロナ禍の中での業界の地位向上と地域の安全安心の実現、さらには来年の東京五輪を何としても成功させるために、業界の一致団結と政治の力が必要とされています」と呼びかけた。

 来年(2021年)は衆議院議員の任期満了が10月21日で必ず代議士選挙がある年。国政に業界の声を「直に」訴える国会議員は労働組合や電力、土木・建築、医療など多くの分野から送り出されているが、警備業界の政治活動組織である全警連では理事長の出馬を考えているのだろうか。事務局は「まったく白紙。というより検討もしていません。今はなにより連盟の財政基盤を強化することが第一です」と話す。基盤強化の面では、首都・東京での連盟設立も重要になるが、事務局によれば、早ければ来春にも発足できる見通しだという。

全警連の活動を伝える「全国警備連盟ニュース」。業界の一致団結と政治の力の必要性を訴える青山幸恭理事長のメッセージも
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