警備人材育成センター令和4年の警備員等資格取得講習会の実施状況を発表
令和4年の警備員等資格取得講習会事業の状況を警備人材育成センター野村事務局長が分析・発表した。
警備人材育成センターは、検定等資格取得講習会の開催状況を発表した。
令和4年は、実施回数は82回(前年96回)、受講者数は2,799人(前年3,316人)、受考者数2,659人(前年3,186人)、合格者数1,975人(2,422人)、合格率は74.3パーセント(前年76.0%)でした。
また、7年間の実施推移と種別・級ごとの実施状況は、次のとおりです。
① 7年間の開催結果
実施年 | 実施回数 | 受講者数 | 受考者数 | 合格者数 | 合格率(%) |
平成27年 | 25 | 596 | 547 | 321 | 58.7 |
平成28年 | 43 | 1,485 | 1,312 | 918 | 70.0 |
平成29年 | 53 | 1,663 | 1,505 | 1,114 | 74.0 |
平成30年 | 52 | 1,818 | 1,716 | 1,342 | 78.2 |
令和元年 | 77 | 2,233 | 2,117 | 1,700 | 80.3 |
令和2年 | 84 | 2,613 | 2,541 | 2,100 | 82.6 |
令和3年 | 96 | 3,316 | 3,186 | 2,422 | 76.0 |
令和4年 | 82 | 2,799 | 2,659 | 1,975 | 74.3 |
平成27年の開催から令和3年まで毎年実施回数の増加に伴い、受講者数も確実に増えてきましたが、令和4年においては、東北地区での実施を控えたことと、関東4県での実施回数を増やせなかったことが要因となり、実施回数は14回減少、受講者数も345人の減少となりました。
1回当たりの定員数は40人ですが、令和3年の1回当たりの平均受講者数は34.5人、令和4年36.2人(前年対比+1.5人)となっており、採算効率は若干上がっているものの、まだ定員の40人をクリアーできていません。その要因としては、空港保安警備業務、貴重品運搬警備業務、さらに、交通誘導警備業務1級の1回当たりの受講者数が定員割れとなっているところにあります。
これについては、配置基準との兼ね合いがありますので容易な解決はできない要素でもありますが、実施する時期、そして他種別との合同開催を行うことによってある程度改善されるものと考えております。
今年は、前述した1開催当たりの効率性を上げるために、関東4県以外の県において講習会を開催する場合、採算性を重視し、採算が取れる開催方法を検討しながら、できない場合は開催しない方針を掲げ、講習会の適正かつ効果的な講習会の開催を維持していく考えです。
昨年は、受講希望の多い施設警備業務2級及び交通誘導警備業務2級の受講者数を増やし、全体の採算性を上げることに精力を集中させてきたところですが、令和4年の施設警備業務2級の1回当たりの受講者数は32.9人(前年36.7人)、交通誘導警備業務2級は41.2人(前年46.2人)であり、施設警備業務は3.8人減、交通誘導警備業務2級は前年どおりと改善できていない結果となりました。この結果を参考に、今年は施設警備業務2級は実施回数を減らし、交通誘導警備業務2級の実施回数を増やす方向で計画する方針です。
② 種別、級別実施状況
1級 | 2級 | |||||||||||
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |||||||
回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | |
空港保安 | 6 | 64 | 6 | 54 | 4 | 42 | 7 | 257 | 7 | 173 | 6 | 136 |
施設 | 7 | 192 | 6 | 191 | 7 | 191 | 20 | 640 | 23 | 844 | 16 | 526 |
雑踏 | 1 | 14 | 2 | 14 | 1 | 13 | 3 | 47 | 3 | 84 | 3 | 116 |
交通誘導 | 2 | 23 | 2 | 50 | 2 | 43 | 38 | 1,376 | 46 | 1,897 | 42 | 1,732 |
貴重品 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 9 | 1 | 10 |
➂ 種別・級ごとの実施結果
実施種別・級 | 回数 | 受講者数 | 受考者数 | 合格者数 | 合格率(前年比) | |
空港保安警備業務1級 | R3 | 6 | 54 | 47 | 40 | 85.1 |
R4 | 1 | 42 | 39 | 35 | 89.7 | |
空港保安警備業務2級 | R3 | 7 | 173 | 161 | 130 | 80.7 |
R4 | 6 | 131 | 120 | 99 | 82.5 | |
施設警備業務1級 | R3 | 6 | 191 | 185 | 151 | 81.6 |
R4 | 7 | 186 | 177 | 135 | 76.3 | |
施設警備業務2級 | R3 | 23 | 844 | 822 | 677 | 82.4 |
R4 | 16 | 526 | 502 | 411 | 81.9 | |
雑踏警備業務1級 | R3 | 2 | 14 | 13 | 8 | 61.5 |
R4 | 1 | 13 | 13 | 11 | 84.6 | |
雑踏警備業務2級 | R3 | 3 | 84 | 77 | 64 | 59.7 |
R4 | 3 | 116 | 113 | 89 | 78.8 | |
交通誘導警備業務1級 | R3 | 2 | 50 | 49 | 35 | 71.4 |
R4 | 2 | 43 | 42 | 30 | 71.4 | |
交通誘導警備業務2級 | R3 | 46 | 1,897 | 1,823 | 1,329 | 72.9 |
R4 | 42 | 1,732 | 1,644 | 1,162 | 70.7 | |
貴重品運搬警備業務2級 | R3 | 1 | 9 | 9 | 6 | 66.7 |
R4 | 1 | 10 | 9 | 3 | 33.3 |
次に、実施結果を見ますと冒頭に述べましたとおり、全体の平均合格率は74.3パーセント(前年76.0%)と、前年比1.7パーセント下がったのは、施設警備業務2級と交通誘導警備業務2級の合格率が下がったことが要因となっています。
次に、学科試験と実技試験の合格率状況を種別、級ごとに分析すると、次のようになります。
④ 学科試験と実技試験の合格率
実施種別・級 | 受考者数 | 学科合格者・率 | 実技合格者・率 | 考査の合格者と合格率 |
空港保安警備業務1級 | 39 | 36人・92.3% | 36人・92.3% | 35人・89.7% |
空港保安警備業務2級 | 120 | 105人・87.5% | 111人・92.5% | 99人・82.5% |
施設警備業務1級 | 177 | 143人・80.8% | 166人・93.8% | 135人・76.3% |
施設警備業務2級 | 502 | 424人・84.5% | 471人・93.8% | 411人・81.9% |
雑踏警備業務1級 | 13 | 12人・92.3% | 12人・92.3% | 11人・86.4% |
雑踏警備業務2級 | 113 | 91人・80.5% | 109人・96.5% | 89人・78.8% |
交通誘導警備業務1級 | 42 | 30人・71.4% | 39人・92.9% | 30人・71.4% |
交通誘導警備業務2級 | 1,644 | 1,206人・73.4% | 1,507人・91.7% | 1162人・70.7% |
貴重品運搬警備業務2級 | 9 | 3人・33.3% | 9人・100% | 3人・33.3% |
以上のとおり、いずれの種別及び級ともに実技試験より、学科試験の方が合格率は低く、学科試験の種別から見えてくるものは、空港保安警備業務の合格率は90パーセント前後、施設警備業務は80パーセント前後、そして、交通誘導警備業務では70パーセント程度となっていることです。よって、交通誘導警備業務2級の講習内容をさらに充実できるよう努力しなければならないと改めて思うところです。
次に、実技試験の難易度を減点状況によって分析すると、施設警備業務1級においては、1位「巡回実施要領」、2位「警察機関等への追加 連絡要領」、3位「警戒じょうの操作要領」となっており、総合管理システムの減点数が少ないのは意外と思われますが、いわゆる難易度が高いと受講者意識が高いから、受ける方々がそこを十分に勉強した結果ではないかと判断するところです。
さらに、施設警備業務2級と交通誘導警備業務2級の実技試験を種目ごとに減点数を分析すると、次のようになります。
⑤ 種目ごとの減点状況
施設警備業務2級種目 | 受考者数 | 減点総数 | 減点総人数 | 平均減点数 | 減点率(%) |
出入管理要領 | 502 | 267 | 112 | 2.4 | 22.3 |
自動火災報知設備の操作要領 | 290 | 103 | 2.8 | 20.5 | |
巡回実施要領(DVD) | 515 | 150 | 4.3 | 30.0 | |
警察機関等への連絡要領 | 141 | 72 | 2.0 | 14.3 | |
負傷者の搬送要領 | 114 | 66 | 1.7 | 13.1 | |
警戒じょうの操作要領 | 168 | 82 | 2.1 | 16.3 |
交通誘導警備業務2級種目 | 受考者数 | 減点総数 | 減点総人数 | 平均減点数 | 減点率(%) |
大旗による車両の誘導要領 | 1,644 | 1,162 | 329 | 3.5 | 20.0 |
素手による車両の後進誘導要領 | 936 | 235 | 4.0 | 14.3 | |
二次災害防止要領 | 538 | 213 | 2.5 | 13.0 | |
警察機関等への連絡要領 | 524 | 141 | 3.7 | 8.6 | |
負傷者の搬送要領 | 837 | 303 | 2.8 | 18.4 | |
徒手の護身術(基本) | 587 | 256 | 2.3 | 15.6 |
⑥ 施設警備業務2級及び交通誘導警備業務2級の誤答率(間違いの多い問題)
出題される問題によって若干異なるものの、施設警備業務2級の誤答率が高い傾向にあるのは、講習教本第1章第2節の「憲法」、「刑法」、第4章第2節の「負傷者の応急手当」、第4節の「消火設備」、「避難誘導」となっております。
そして、交通誘導警備業務2級では、第2章第1節の「憲法」、「刑法」、第3章第1節及び第2節の「合図実施上の位置や受傷事故防止」、「合図の方法」が高い誤答率となっており、学科試験においても実務の問題が意外と誤答率が高いという点に留意すべきです。
以上のとおり、施設警備業務2級及び交通誘導警備業務2級を中心に1年間のデータに基づき分析しましたが、これはあくまでも参考程度にしていただきたい。受講上の研鑽の基本は、講習教本をできるだけ早く取り寄せ、何度も読み込み、教本に示されている「要点」を把握した上で、「涵養問題集」をやってみる。やってみた結果、全ての問題の5つの枝が全部理解できるまで、教本を読み込み必要事項を正確に記憶することが肝要です。
また、実技は、身体で覚えることが大切です。自己流では合格できません。あくまでも基本に忠実に体得することが必要です。そのためには、2級については、まず講習教本の後ろに「実技訓練編」として、実技4種目の展開図等を添付しています。それを参考にして一連の動き、文言を覚えておくことです。そして、事前講習や本講習において、それを修正したり、新たに覚えたりし、完成度を高めることが効果的です。
私どもも、この結果に基づいて、同種別の講師研修会において生かし、より効果的かつ適正な講習会を実施することとします。これから受講される方々は、この分析結果を参考にされ、効果的な事前勉強をされて、多くの方が合格されることを希望いたします。