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警備人材育成センター令和3年の警備員等資格取得講習会の状況を発表

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警備人材育成センター令和3年の警備員等資格取得講習会の状況を発表

令和3年の警備員等資格取得講習会事業の状況を警備人材育成センター野村事務局長が分析・発表した。

 警備人材育成センター(以下「センター」とします。)は、検定等資格取得講習会(以下「講習会」とします。)の開催状況を発表した。
令和3年は、新型コロナウイルスが全世界に感染拡大する中、2020年東京オリンピック・パラリンピックが1年遅れで開催されました。開催中1日の感染者数が5,000名(東京)を超え、心配される状況も一時期ありましたが、終わってみると大会関係者の感染は863人にとどまり、大規模な大会であっても厳格な感染対策と運営管理を行うことによってウイルスを封じ込めることができることを世界へ証明した大会でした。
私どもの講習会も前年同様新型コロナウイルス感染対策が最重要案件と位置付け、講習会を安心して受講していただけるよう講習会の環境保全を重点的に推進してまいりました。その施策が受講しようとする企業や個人の方々に理解されたことが、本年の受講者数の増加につながったものと自己評価をしております。特に、交通誘導警備業務2級の増加に見られるように、今年初めて開催の福島県、新潟県、静岡県、愛知県、島根県の5県の開催(いずれも交通誘導警備業務2級)は、いずれも地域の要望に応じて開催したものであり、国家公安委員会の登録講習機関としての実績と安全安心な講習会の開催が認められた証と自負するところです。
 令和2年と令和3年の実施状況を比較しますと、実施回数は96回(前年84回)、受講者数は3,316人(前年2,613人)、受考者数3,186人(前年2,541人)、合格者数2,422人(2,100人)、合格率は76パーセント(前年82.6%)でした。
また、7年間の実施推移と種別・級ごとの実施状況は、次のとおりです。

① 6年間の開催結果

実施年 実施回数 受講者数 受考者数 合格者数 合格率(%)
平成27年 25 596 547 321 58.7
平成28年 43 1,485 1,312 918 70.0
平成29年 53 1,663 1,505 1,114 74.0
平成30年 52 1,818 1,716 1,342 78.2
令和元年 77 2,233 2,117 1,700 80.3
令和2年 84 2,613 2,541 2,100 82.6
令和3年 96 3,316 3,186 2,422 76.0

 

 平成27年の開催以来、毎年実施回数、受講者数は確実に増えているものの採算性の推移は以前厳しい数字となっております。
1回当たりの定員数は40人ですが、令和元年の1回当たりの平均受講者数は29人(-11人)、令和2年31.1人(-18.9人)、令和3年35.5人(-4.5人)と依然マイナスとなっております。その要因は、雑踏警備業務及び貴重品運搬警備業務、さらに、1級種別の定員が大幅に下回っていることです。これについては配置基準との兼ね合いがありますので容易には解決できない要素があります。そこで、受講希望の多い施設警備業務2級及び交通誘導警備業務2級の受講者数をより増やし、全体の採算性を上げることに精力を集中させてきましたので、令和3年の施設警備業務2級の1回当たりの受講者数は36.7人(前年32人)、交通誘導警備業務2級は41.2人(前年36.2人)と年々増加しております。

② 種別、級別実施状況

  1級 2級
令和2年 令和3年 令和2年 令和3年
回数 受講者 回数 受講者 回数 受講者 回数 受講者
空港保安警備業務 6 64 6 54 7 257 7 173
施設警備業務 7 192 6 191 20 640 23 844
雑踏警備業務 1 14 2 14 3 47 3 84
交通誘導警備業務 2 23 2 50 38 1,376 46 1,897
貴重品運搬警備業務 0 0 0 0 0 0 1 9

 

➂ 種別・級ごとの実施結果

実施種別・級 回数 受講者数 受考者数 合格者数 合格率(前年比)
空港保安警備業務1級 6 54 47 40 83.9(+1.8)
空港保安警備業務2級 7 173 130 80.7(-9.7)
施設警備業務1級 6 191 151 81.6(-7.0)
施設警備業務2級 23 844 822 677 82.4(-1.8)
雑踏警備業務1級 2 14 13 8 61.5(+11.5)
雑踏警備業務2級 3 84 77 64 59.7(-3.1)
交通誘導警備業務1級 2 50 49 35 71.4(+23.6)
交通誘導警備業務2級 46 1,897 1,823 1,329 81.2(-8.3)
貴重品運搬警備業務2級 1 9 9 6 66.7(+-0)

 

 次に、実施結果を見ますと冒頭に述べましたとおり全体の平均合格率は、76パーセント(前年82.6%)でしたから、前年対比6.6パーセント低くなっております。しかも、2級の合格率が軒並み下がったことがその要因となっております。

開催県 種別・級 開催月 合格率 開催県 種別・級 開催月 合格率
熊本県 交通誘導2級 4月 69.8 大阪府 施設2級 8月 66.7
福島県 89.2 島根県 交通誘導2級 94.9
宮城県 5月 92.3 宮城県 交通誘導2級 68.8
愛知県 76.1 静岡県 9月 68.4
新潟県 81.1 愛知県 71.8
大阪府 交通誘導2級 6月 71.4 大阪府 施設2級 10月 75.0
福島県 59.1 熊本県 11月 72.0
熊本県 施設2級 7月 71.9 平均合格率 71.1

 

 東京都と周辺3県以外の地域で実施した2級の合格率は上覧のとおり、合格率に上下20パーセント以上のばらつきがあり、平均合格率は71.1パーセントと全種別の平均合格率を5パーセント下回っています。しかし、施設警備業務2級と交通誘導警備業務2級の実施回数69回中、東京都と周辺3県以外で平均合格率をクリアーできなかったのは10回でありますから、両種別の2級の実施全体の15パーセントに過ぎません。したがって、東京都と周辺3県の合格率の低下が全体の合格率を下げた大きな原因となっていることは明らかです。
 このようなデータに基づき、同種別の講師研修会において、講師がしっかり出題傾向を把握するとともに丁寧な講義によって誤答率を下げること。さらに、講師能力の斉一化を図ることが合格率の低下に歯止めをかける緊急な課題と考えております。
 そのほか、東京都と周辺3県以外の地域で講習会を実施するとき、講師の派遣と資機材の運搬の関係上、事前講習と本講習会とを3日間(事前講習1日本講習2日)連続して実施することから受講生は事前講習を受けてもそれを生かす復習時間が十分に取れないまま本講習会を迎えることになりますので、事前講習効果が十分発揮できないことが合格率に大きなばらつきが生じる要因となっているのではと考えております。これらの課題については、開催地での講師の育成などの課題をクリアーしていかなければなりません。しかし、講師の発掘・育成には時間が必要となります。また、開催地域や実施種別又は級によって、採算の取れない講習会も少なからずありますので、こうした現実の中で、地域の開催要望に応えるためには、やはり、地域で最低限の受講者を確保していただくことが不可欠です。そうして講習会をやりながら広報し、地域業者の方々に周知することが重要です。そうした方法による成功例が近畿地区の開催でした。3年前に始めた近畿地区は、開催する度に受講者数が増えており、今では定期的に開催できるまでに市場の開拓ができました。このような地域の警備業者との協働による開催が極めて重要であると考え、今後もこのスタイルを維持し推進していくつもりです。
 なお、昨年来心配された新型コロナウイルスは、重篤率は低いものの感染力の強いオミクロン株が世界中で猛威を振るっておりますが日本での感染状況も欧米に見られるように危機的な感染拡大が進みつつある状況になってまいりました。今後心配されますのは、感染拡大によって感染したり、濃厚接触者と指定された場合には10日間の自宅待機や社会活動から隔離されることによる人材の不足が懸念されます。特に、慢性的な人手不足の警備業及びビルメンテナンス業では深刻な問題となります。そうならないためにも現場の感染対策を改めてより厳格に見直すことが重要です。
 政府の方針や自治体の的確な対策、そして、何より国民の理解ある行動が感染拡大を防ぐ大きな力となります。
 当団体におきましても、講習会の開催には衛生面に万全を期して、より効果的かつ適正な講習会に努める所存です。そして、本年も登録講習機関としての役割を果たしてまいりますので、業界の皆様には、昨年同様のご支援をいただきますようお願い申し上げます。

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