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罠の遠隔監視システムを導入した鳥獣被害対策支援サービスの実証実験

罠の遠隔監視システムを導入した鳥獣被害対策支援サービスの実証実験

農林水産省の調べによると、全国の野生鳥獣による農作物の被害額は158億円(平成30年度)で、6年連続で減少傾向にあるものの、狩猟者の減少や耕作放棄地の増加等により、野生動物が農林産業や日常生活に被害を及ぼす事例が多発。深刻な社会問題になっている。

特に、東日本大震災の被害が大きかった福島県内では、イノシシなどの野生動物の活動範囲が広がっていて、車両事故や家屋被害が増加。復興を妨げる要因にもなっている。

そんな問題を解消するために、ALSOK福島株式会社(本社:福島県郡山市、代表取締役社長:前田泰彦)では、平成29年5月に「認定鳥獣捕獲等事業者」の認定を受け、狩猟免許を取得し教育を受けた社員による有害鳥獣捕獲業務を行っている。

「弊社が鳥獣捕獲業務を行っているのは、原発事故で帰宅困難地域になっている大熊町です。本来であれば町の猟友会が行う作業ですが、帰宅困難地域ということで、大熊町からの依頼(入札)で捕獲業務を行っています。町から貸与された罠30基を設置し、見回りやエサやり、罠にかかった有害鳥獣を町が定めた処分場まで搬送するまでが業務となります」(ALSOK福島)

しかし、定期的な見回りやエサやり、錯誤捕獲の早期発見など、作業負担は軽いものではない。

そこで、より効率的な捕獲作業を実現するために、凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿秀晴)が提供する LPWA通信企画ZETA(*1)を活用した罠センサー(*2)および罠の遠隔リアルタイム監視システムを、ALSOK福島が提供する罠の設置・見回り・有害鳥獣の捕獲業務までワンストップで受託する鳥獣被害対策事業に導入した実証実験が、2020年11月17日から1か月間の予定で、福島県大熊町で行われている。

ZETAは野生動物が生息する山間部等、電波が届きにくい場所でも安定的に通信することができるネットワーク規格で、罠に有害鳥獣がかかると罠センサー(くくり罠やはこ罠等、既存の罠にも後付け可能)が検知して、事前に登録した管理者にメールやLINEでメッセージを通知。また、罠センサーにはGPS機能が備わっていて、設置した罠の位置情報をパソコンやスマートフォンなどの端末から常時閲覧可能。自治体職員、猟友会員、警備会社など、複数メンバーで情報共有することで、連携した有害鳥獣対策を講じることができる。

ZETAを活用した鳥獣被害対策のサービスのイメージ(左)と罠センサー(右)
© Toppan Printing Co., Ltd.

現在、ALSOK福島には狩猟資格をもつ従業員が40名ほどいて、新しい鳥獣捕獲サービスが確立されることで、警備業としての鳥獣捕獲業務の依頼が増えることを期待しているという。

凸版印刷とALSOK福島は、本実証実験を通じて、ZETA罠監視システムを活用した地方自治体向けの総合的な鳥獣被害対策サービス提供を推進していくとともに、今後はZETAの通信ネットワーク提供とALSOKの見回り管理等のソリューションを融合することで、電気柵の電圧の遠隔監視等、新たなサービスの開発にも取り組んでいく。

(*1)ZETA(ゼタ)/ZiFiSenseが開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。LPWAの規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。

(*2)罠センサー/本実証で使用している罠センサーはマクセルフロンティア株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:大橋明)が設計・製造したものを使用。

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