愛知県津島市に於いて、第2回交通誘導警備業務二級資格取得講習会が開催された。
1.開催の概要
令和4年6月4日(土)~5日(日)の日程で(任意参加の事前講習会は、3日に実施)津島商工会議所(愛知県津島市立込町4丁目)で開催された。
実施したのは、特定非営利活動法人 警備人材育成センター(理事長:松浦 晃一郎氏 国家公安委員会登録講習機関 第3号)である。(以下、同センターと記載)
同センターでは、昨年の9月25日(土)~26日(日)(事前講習会は、24日)開催に続いての2回目となる。
会場となった津島商工会議所は、昨年同様で、津島市役所に程近くにあり、大ホール(定員150~180名)・研修室(定員50名)と第2駐車場を全面借上げて、新型コロナウイルス感染対策を十分施しながら、換気・手指消毒を徹底した中でおこなわれた。
同センターからは、藤波常務理事が「総括責任者」として、講習会全般を指揮していた。
2.講習会の状況
受講者数は、42名で愛知県内を中心に営業所等を置く9社から参加していた。
最高年齢は、77歳で最年少は、20歳と幅も広く、女性2名も受講した。
昨年の第1回の開催では、受講者39名、合格者28名で合格率は、71.8%と愛知県警備業協会(以下、県協会と記載)に於いて開催の令和4年3月と4月で3回実施された交通誘導警備業務二級の平均合格率が75.6%であったことから若干、下がるが比較すると概ね同率に近い結果が前回は、出されていた。
講習会は、開講式の後、オリエンテーションが行われ、施設利用上の注意点や感染症対策に係る留意事項等の説明に続き、学科講義が開始された。
1時限目の「警備業務実施の基本原則・資質の向上」から順次、5名の講師が丁寧かつ解り易く交替で最終科目の「事故発生時の応急措置」まで、途中に休憩・昼食時間を挟みながら、講義がおこなわれた。
受講者の多くは、熱心に各講師の講義を受けて、要点を記録したり教本を確認し、アンダーラインを引いたりと、学科講義の時間中は、忙しく取り組んでいる様子であった。
学科講習終了後は、教場である大ホールから実技訓練場である施設付帯の駐車場へ移動して実技訓練へと移行した。
受講者は、装備を着装して熱中症対策用の水分補給の準備をして最初の訓練科目である「大旗による車両誘導要領」の実技訓練に臨んだ。
初めに責任講師より、状況想定や訓練要領についての説明を受け、講師による模範演技を観た後、補足説明を受けて質疑回答があり、5個班に分かれて、個別に訓練を実施した。
受講者は、他の受講者の状況を見て参考にしている様子で夫々、訓練コースの担当講師からのアドバイスを聞き洩らさない様、注力していた。
特に本実技科目にあっては、「所定の場所で徐行・停止・進行・幅寄せの順で合図を行え」という課題があることに注意して「所定の場所をよく体得する様に」との、指導を熱心に受けていた点が印象に残った。
実技訓練開始時間の頃になると、受講者を参加させている各社の幹部が多数、視察に訪れて、自社警備員の状況を具に観察している様子が見受けられた。
この様な状況は、地方開催ならではのことではないかと、強く感じた。
休憩時間では、自社の警備員に対して会社幹部が激励をしたり、警備員教育を会社で担当しているという者が講師に対して、自社でおこなう「送り出し教育」について、参考となる助言を受けていたのも特徴的と考えるのは、やはり、県協会に加盟をしていない会社にとっては、資格取得講習会についての情報が乏しく、自社の警備員に対して具体的な効果ある教育を事前にどの様に、おこなったら良いのかという疑問が多々ある様で助言を受けた会社の教育担当幹部は、「ポイントがつかめた様な気がする。今後、より実践的で具体的な指導がおこなえます。」と、筆者の問い掛けに答えていた。
実技訓練は、その後、翌日に渡り、①「負傷者の搬送要領」②「警察機関等への連絡要領」③「徒手の護身術(基本)」④「二次災害防止要領」⑤「車両の後進誘導要領」の併せて6科目が順次おこなわれ、受講者は、実技試験に向けて自信を深めた様だ。
3.実技試験と学科試験
これら6科目の実技訓練をすべて終了した後、実技試験がおこなわれた。
教場となった大ホールに全ての受講者が集合し、教本・問題集などの持ち物を一旦、教場外の荷物置場に集めて試験の公正性を保つことが完了すると、総括責任者より実技試験について注意事項等の指示を受けた後、最初の試験科目である「車両の後進誘導要領」が実施された。
受講者の中には、かなり緊張した様子で実技試験を受けていた者が見かけられたが、実技訓練の最後が同科目であった為、遺憾なく実力が発揮されていた様であった。
順次、他5科目の試験を途中に休憩と昼食時間を入れながら実施して、最後に学科試験がおこなわれることと、なった。
実技試験員として採点に当たっていた講師の一人は、「実技試験は、終わったので学科試験に頭を切り替えて、頑張りなさい」と、やや落ち込み気味の受講者達を激励していた。
学科試験は、大ホールでおこなわれ実技試験同様、私物(スマートフォンやスマートウォッチ等)・手荷物の教場内持込み制限を実施した後、総括責任者から試験について指示を受け、開始の号令で持ち時間60分・五者択一の試験問題に受講者は、一斉に取り掛かると、
その後、早い者は、開始後25分程度で退出、最終退出者は、終了時間5分前であった。
4.おわりに
学科試験が終了した複数の受講者に聞き取りをしてみたところ、「概ね合格する自信がある」若しくは、「合格の自信がある」と答えた者は、半数程度であった。
やはり、学科試験対策が不十分と考えている者が大半であり、中には、問題集が別途販売されていることを、知らない者も多かったことから、今回の合格率が昨年を下回る様であれば、各社における学科試験対策に重点を置いた「送り出し教育」が期待されると、考える。
本講習会に於いて、一人でも多くの受講者が合格され、二級検定合格警備員となり「現場におけるリーダー」として、活躍されることを切に願う。
(写真は、筆者撮影)執筆:警備員指導教育責任者(2号) 小松昌勝