島根県防犯設備協会設立
全国で42番目、山陰地方では初となる防犯設備協会が島根県に設立された。昨年6月に5社が発起して設立準備が進められ、警備、防犯機器、消防設備、設計事務所、鍵業者といった15の関連企業と3人の防犯設備士が加盟。2月25日、松江市内で「島根県防犯設備協会」設立総会が開催された。当初は全国防犯設備協会や近県の防犯設備協会関係者等も出席予定だったが、コロナ禍ということで県内の関係者だけで執り行われた。
初代会長に就任した後長利春氏(企業警備保障株式会社・代表取締役会長)は「安心安全なまちづくりに貢献していきたい」と挨拶。今後は警察が企画するイベント等で地域住民から防犯相談に応じるなど、専門的な知識を地域に提供しつつ、近県の防犯設備協会とも連携し情報交換をしながら活動していきたいとしている。また、当面の課題として挙げているのが会員の増員。現時点で4月に法人会員が1社増える予定だが、会員が増えることで独自の活動も行っていきたいとしている。
島根県では、2006年(平成18)7月に、県民の身近なところで発生する犯罪や、子ども・高齢者の犯罪被害が増加していること等の背景から、「島根県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」を制定し、安全で安心なまちづくりに関する施策の総合的な推進を図ってきた。県内の犯罪情勢は、2003年(平成15)をピークに概ね減少傾向にあり、2018年(平成30)にはピーク時の約3割までに減少していることから、条例制定の成果が見てとれる。しかし、刑法犯認知件数に占める割合は「万引き」「自転車盗」「器物損壊等」が上位を占めていて、総件数の割合は増加傾向にある。また、2009年(平成21)に発生した女子大生死体遺棄事件等の凶悪犯罪の発生、子どもや女性への声かけ・つきまとい、オレオレ詐欺といった特殊詐欺被害の高止まり等、県民の犯罪被害への不安は払拭できていない状況にある。
島根県では人口減少や高齢化等に伴い防犯活動の担い手が減少していることから、犯罪を未然に防ぐ意識啓蒙と継続的な取り組みに力を入れており、防犯設備協会の活動が地域の防犯に寄与するものと期待される。
(藤原 広栄)