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特別連載 共栄セキュリティサービス株式会社 我妻社長 ②

警備業関連特集記事インタビュー
特別連載 共栄セキュリティサービス株式会社 我妻社長 ②

前回掲載のインタビューはこちらをご覧ください。

 

記者;警備業界では、8番目の上場企業となったわけですが、この業界では上場するといった声を聞くことはほとんどなかったのですが、我妻社長は上場すると志されたのは、いつ頃なのですか、またその動機というか、きっかけはどのようなことからですか。

我妻社長;新規上場に向けてキックオフしたのは、上場の4年半程前です。逆に言えば、4年半かかりました。
私も、上場直前に還暦を迎え、「社長の体力は会社の体力」ですから、元気なうちに上場して、優秀な社員の中から将来の社長をはじめ経営陣を輩出して、発展していってほしいという思いがあったことがキッカケです。

 

記者;もともと交通誘導警備業務を目指して、西池袋で開業されましたが、上場を志されてから上場するために何を、どのようにすることから手を付け、又は心掛けられましたか。

我妻社長;何よりも業績です。私どもの事業は、ベンチャー企業のような爆発的な成長は現実的ではありませんが、お得意様の信頼を勝ち取って、根を張った長いお付き合いを継続することには、長けているはずです。
交通誘導警備業務は、工事が竣工するたびに仕事が切れてしまうため、継続して営業しなければなりませんし、警備員を生活させる保証も中々難しいものです。特に繁忙期過ぎの4月5月は顕著です。
そこで当社は、業界内の交通誘導警備を主力事業とする会社としては早い段階で、施設警備にシフトしました。警備員さんに安定して仕事についてもらうためというのが一番の目的でしたが、結果、安定収益型のビジネスモデルを得ることができました。

記者;上場を志して、一番大変だったこと、又は有効だったことは、更には参考になったことは、ありましたか。

我妻社長;前述の通り、事業は安定していましたが、内部管理体制は一から作り直しました。会社法に基づいた経営がなされているか、また適正な会計方法で決算が組まれているか、コーポレートガバナンスは問題ないか、全部厳しい審査を受けました。
そして社長の公私混同が1番ダメです。私も「会社は社長のもの」という意識を変えました。まさに、阿闍梨になったような気持ちになりました。
ガバナンスについても相当勉強をしました。また、組織で経営すること、つまり責任者として抜擢した社員に決済権限を委譲することも大切なことです。最初は権限委譲には勇気が必要でしたが、今では社員が受け身ではなく、自分で積極的に必要な判断ができるようになり、それぞれ成長して頑張っています。

 

記者;上場企業として、その責任、社会的役割について、どうお考えか聞かせてください。

我妻社長;業界では数少ない上場企業として、業界を代表し、業界や警備員の地位向上などのお役に立ちたいと考えております。また、事業活動は、サステイナビリティ(持続可能性)を意識したものとして、社会への責任を果たしていきたいと考えています。

 

記者;警備業界は、若い経営者又は後継者がたくさんおられます。先輩として、警備業の魅力・重要性、経営者の志、そして、警備業界を生き抜く要領等を参考に聞かせてください。

我妻社長;先程も申しあげましたが、警備業は事業を通じて社会貢献できるビジネスです。犯罪認知件数は減少していますが、凶悪事件や自然災害を背景に社会からの期待は高まっています。サステイナビリティも意識しやすい事業です。これらが、魅力であり重要性であると思いますが、この事業にかかわっていることにもっと胸を張っても良いと思います。
経営者の志ではないですが、当社は経営理念を「『誠実』かつ『確実』」としています。事業を行う上ではお客様、社員、株主、地域社会など様々なステークホルダーと接しますが、「誠実」かつ「確実」な対応は基本中の基本です。

警備業界を生き抜く要領は、人それぞれですから。私も皆さんのように上手く生き抜けるようにしていきたいです(笑)。

 

記者;ここ数年慢性的な人手不足が続いています。このような状況下で人材の確保のための手段や工夫、辞めさせないための有効な企業魅力のアップ 等を参考に教えてください。

我妻社長;当社でも、社員寮の設置など人材確保には注力しています。
独自の取り組みとしは、アメフト部があります。アメフトって、大学時代までは一生懸命プレーされている学生さんも、社会人になるとアメフトが続けられる環境が無くて、泣く泣く辞められてしまうのです。そこで当社はアメフト部を創設、平日は警備業務に従事していただき、土日に部活動をやってもらっています。
また、辞めさせないための工夫として、ラウンダー活動があります。専門の女性スタッフが現場を回って、警備員の愚痴を聞きます。業務指導はしません。人間関係の悩み、家庭環境の悩み、業務のこと以外、何でも聞きます。警備員も女性スタッフ相手だと話やすいのですね。それで、いわゆる環境のミスマッチによる離職を防いでいます。

記者:現場の声を直接聞き細かいところまでフォローできる体制がとられていて働かれている方と役員との距離の近さが働きやすい環境を生んでいるのでしょうね。

 

記者;警備業の慢性的な人材不足の中で、特に、交通誘導警備業務と空港保安警備業務が人材の不足が顕著です。この状況は、オリンピックが終わった後も大きな変化はないと専門家は判断しております。そこで、ビルメンテナンス業のように、交通誘導警備業務に限って、外国人の活用、いわゆる「特定技能」制度を導入することを研究・検討しようとすることが動きはじめているようですが、どのように思われますか。

我妻社長;
国や業界が後押しするかたちで、前向きに取り組むことについては、大変良いことだと思います。逆に、日本は遅れているぐらいで、情報化社会を背景に国境が薄まり、そして東京オリンピックや大阪・関西万博が開催され、統合型リゾートが計画されるようなグローバルな環境下で、多様な働き方は賛成です。当社でも、社会貢献性を検討したうえで、取り組んでいく可能性はあります。

 

記者;この業界に今後期待されることとして、どのような事が挙げられますか。

我妻社長;警備業は、2020年代以降も不可欠な社会インフラです。当社は昨年上場に至りましたが、投資家の皆さんから驚かれるほど、市場規模や警備業者数、警備員数と比較して上場会社が少ない業界です。是非、今後新たな警備会社が上場され、お互いに切磋琢磨し、競争力を増し、より大きく活性化された業界になっていくことを望んでいます。それが、業界の社会的地位向上、警備員の待遇改善、士気向上への近道だと思っています。

 

記者:警備員のための福利厚生の一環で何か取り組んでいることはありますか。

我妻社長:上場企業ならではの制度として、社員持株会があります。正社員ではなくても、フルタイムであれば誰でも入会できます。私たち役職員が頑張れば、株価に影響する可能性があります。会社としても、役職員が頑張ってくれるメリットがありますし、社員は資産形成ができます。

 

記者:西日本新幹線に搭乗警備員に対するテロ対策は何かされていますか。

我妻社長:警乗業務が全ての新幹線で開始され、弊社も警備を担当しています。訓練はもちろん警戒棒や防刃チョッキを着て対応に当たっています。今後このような取り組みは増えていくと思っています。もともと在来線のグリーン車で警乗業務を行っていました。

記者:コロナウイルスの影響はありますか。

我妻社長:イベントが軒並み中止になっておりますが、当社におけるイベント警備の中止はごく僅かです。当社は施設警備や交通誘導警備を主力としていますので、業績への影響はほぼないと考えています。
新型コロナウイルス対策で意識しているのは、従業員が感染しないようにする取り組みです。どこで誰からうつっても不思議じゃない状況なので、朝礼では社内勤務、警備員を含めマスク着用促し、手洗いやアルコール除菌、うがいの徹底を周知しました。マスクはSARSのときと同様に購入しストックがある状態にしています。備蓄として他にもマスクはもちろん白手(ハク手)、ライト、衛星無線など常備しています。

以上でインタビューを終了いたします。本日は貴重なお話をお伺い出来感謝いたします。ありがとうございました。

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