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警備業者を対象に新型コロナウィルスの影響について聞き取り調査実施

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警備業者を対象に新型コロナウィルスの影響について聞き取り調査実施

新型コロナウィルスは、警備業会社にどのような影響を及ぼしているのか。5月14日から28日までの5日間、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫の6都道府県の警備業協会に登録されている企業を対象に、無作為に電話での聞き取り調査を行った。

 

外出自粛規制中ということもあり、在宅勤務を行っている企業が多く、有効回答数は57社と少なかったものの、切実な声も多く聞かれた。

回答いただいた企業の内訳は、1号専業が約19%、2号専業が約26%、1号2号兼業が約37%、その他が約18%。その他の企業を含めると、98%は1号もしくは2号警備業に関わる企業だった。

聴き取り項目は「売上への影響」「雇用への影響」「売上減少による手当。持続化給付金や雇用調整助成金の申請予定」「新型コロナウィルスの影響で困っていること、警備業協会や行政への要望」「新型コロナウィルス感染予防対策について」の5項目。

 

「売上への影響」

まず「売上への影響」について。ほとんど影響がないと答えた企業は約28%。明確にはわからないが明らかに減収傾向にあると答えた企業は約63%。その中で50%以上減の深刻な状況にある企業は5%だった。

 

「雇用への影響」

「雇用への影響」については、そんな状況下にあってもスタッフを解雇したという企業は皆無。その背景には、人材不足が深刻な問題となっている警備業界。いつ現場が動いてもいいように、会社の懐具合が厳しくてもスタッフは確保しておかなくてはならないという実情もあるのだろう。

現場が止まってしまったスタッフに関しては、他の現場に回すなどして対処しているところもあったが、自宅待機してもらっているというケースがほとんどであった。その場合の休業補償については、社員の場合は有給休暇の消化で対応してもらっているところが多く、6割の補償を行っているところも少なからずあった。非正規雇用のバイトに関しては、無償で自宅待機を強いられているというのが実情のようである。年金を受給されている人は窮状をしのぐこともできるであろうが、ほかに収入も蓄えもない人にとっては生活に切羽詰まっており死活問題である。

 

「売上減少による手当。持続化給付金や雇用調整助成金の申請予定」

そこで頼みとなるのが行政の支援なのである。まず「持続化給付金」については54%の企業が始めから支給対象外になるほど売上が落ち込んでいないので申請する予定はないとの回答だった。しかし、支給対象になるのであれば利用したいという声は多かった。手続きについては、「とにかく申請の仕方が難しい」、「手間暇かけて申請したのに、支給対象になるかわからない」、「いくら支給されるのかわからない」、「いつ支給されるのかわからない」といった声が多かった。「持続化給付金」にしても「雇用調整助成金」にしても、忙しくて窓口の対応が煩雑なのは仕方ないとして、審査や振込み作業はもっとスピーディーに行って欲しいというのが共通した意見だった。

 

「新型コロナウィルスの影響で困っていること、警備業協会や行政への要望」

警備業でも大きな影響を受けたところとそうでもないところと二極化している模様だ。その差となるのが警備業務を請け負っている物件では影響が少ないが、明らかに大打撃を受けているのは中止が決定された花火大会やイベント関連の雑踏警備である。このように先行きが見えない警備業務に携わる企業が抱える不安は大きいようだ。そんな不安を少しでも払拭できるよう、緊急事態宣言を出す際には警備業に関しても具体的な対策、ロードマップを示して欲しかったという声も聞かれた。

 

「新型コロナウィルス感染予防対策について」

危険を回避し安全を守るのが警備業である。新型コロナウィルス感染予防も万全でなければならない。5月14日には全国警備業協会から「新型コロナウィルス感染予防対策ガイドライン」が明確にされ警備業の感染予防対策の道筋が示された。当初、マスクやアルコール消毒液が入手困難だった頃は、割高でもネットで購入して間に合わせたという企業も少なからずあったが、現在はそんな不自由もなく現場の指示に従い感染予防対策が徹底されているようだ。デスクワークのスタッフも、時差出勤、交代出勤、在宅勤務などを取り入れ、オフィスの密な環境を避けるように対処しているところが多かった。

例年であればこれから公共事業の受注が増えるのであるが、新型コロナウィルスの影響が長期化する気配が濃厚なため、いつ仕事を受注できるのか、そのための人員を増やしていいものなのか、といった思案も増える一方。緊急事態宣言が解除されても新型コロナウィルスの感染が終息するわけでもない依然先行きがわからない状況下では不安は解消されない。やはり政府が見通しを立てて経済回復の道筋を示してくれない限り、その場の状況に場当たり的に対応していくだけという困窮感が切実に感じ取れた、これが警備業業者の実情のようだ。

 

※アンケート有効回答数/57社 東京都 14社 神奈川県 11社 埼玉 10社 千葉県 11社 大阪府 6社 兵庫県 5社

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