セキュリティ

警備・清掃ロボットの普及を促進するロボットとエレベーターの連携に関する規格策定

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警備・清掃ロボットの普及を促進するロボットとエレベーターの連携に関する規格策定

 搬送・警備・清掃等に活用されるサービスロボットの開発・提供が進んでいる。しかし、現時点ではユーザーの環境に合わせてカスタマイズする必要があり、それが導入する際の手間やコストにつながり、サービスロボットの普及を妨げる要因になっている。そのため、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ロボットの価格や導入コストの低減を図るべく、2019(令和元)年に、「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を立ち上げ、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリーな環境=ロボフレ)の実現に向けた検討を開始。サービスロボットを普及させることが目的の同タスクフォースは、サービスロボットの普及が進まない理由として、ロボットの導入・運用コストが高く経済価値を十分に出せない。ロボットに係る技術の進歩が遅く、出荷台数が少なく、ロボットの価格・運用コストが下がらないという、負のスパイラルに陥っていると考察。2020(令和2)年から「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会」(RRI)内の組織となり、人手不足への対応や非接触化の実現が求められる業種(施設管理、小売、食品製造)ごとにテクニカルコミッティー(TC)を設置し、ロボフレの実現に向けた検討を進めている。この取り組みのひとつとして、ロボットとエレベーターの連携に関する規格「ロボット・エレベーター連携インタフェイス定義 RRI B0001:2021(DraftRev.2.0)」が策定され、RRIから6月4日に公表された。

 施設管理分野においては、オフィスビル・商業施設・駅・ホテル・病院等の施設でサービスロボットを有効活用するには、各フロアにロボットが自律で移動できるように〝メーカーを問わず〟ロボットとエレベーターが連携することが重要となるため、2020(令和2)年度から実施している「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」において、ロボットとエレベーター間の通信連携に関する研究開発を推進。その成果を活用し、施設管理TC下でロボットとエレベーターの通信連携に関する規格の検討が進められてきた。今回策定された規格は、安価で安全なロボット・エレベーター連携システムの速やかな構築のための、ロボット・エレベーター連携インタフェイスを定義したもの。エレベーターへの人とロボットの安全な同乗にあたり、新設のみならず既設のエレベーターにも組み込める、シンプルかつ安価で安全な連携システムの実現を目指している。

 規格策定にあたっては、株式会社JR東日本商事、清水建設株式会社、大成建設株式会社、東芝エレベーター株式会社、トヨタ自動車株式会社、日本オーチス・エレベータ株式会社、一般財団法人日本品質保証機構、パナソニック株式会社、株式会社パルコ、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社日立ビルシステム、株式会社Preferred Networks、株式会社本田技術研究所(施設管理TC長企業)、三菱地所株式会社(施設管理副TC長企業)、三菱電機株式会社、森トラスト株式会社の16社によって作業が進められてきた。

 規格が策定されたことで、施設管理TC参加事業者の施設でロボット・エレベーター連携システムを活用しながら、利用結果をフィードバックしてもらえる他の事業者に対しても詳細な情報を提供。業界全体での採用を促進し、規格の精度を高めていく。2022(令和4)年6月にはフォーラム標準、将来的には国際標準化を目指していくとしている。

 規格策定公表に合わせ、ロボットフレンドリーな未来を紹介する動画も作成された。
ロボフレな未来を紹介する動画

(藤原 広栄)

  

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