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自動運転事故、運転手に責任(横浜地裁)

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自動運転事故、運転手に責任(横浜地裁)

自動運転時にブレーキが作動せず事故が発生した責任は、居眠りをしていた運転手の責任か、ブレーキがかからなかった自動運転システムの問題なのかについて、横浜地裁は運転手に責任があるとした。

自動運転技術の開発競争が各自動車メーカー間で激化している中、自動運転車の普及に伴い自動運転中の事故の責任についても、昨年12月1日に施行された改正道路交通法では、一定条件下ではシステムが運転の主体となり、緊急時には運転者が操作を引き継ぐレベル3の自動運転で発生した事故責任については、自動車の運転者が責任を負うことが明文化されるなど、法整備が進められてきたところである。
横浜地裁の判決の事故は、2018年4月29日の午後、神奈川県綾瀬市の東名高速で起きた事故である。事故は、米テラス社の乗用車が自動運転レベル2の運転支援機能で自動走行中、事故で停止中のバイクを検知・認識せず、時速38キロメートルの速度で突っ込み、バイクを下りて路上にいた会社員(当時44歳)はねられ死亡、他の友人2人は重軽傷を負った。

自動運転レベルのレベル2では、複数の操作をシステムが行い、運転を支援するレベルであり、事故の責任は原則運転者が負うとされている。

この事故では、事故当時運転者の不動産業の男性(当時50歳)は、自動運転中に居眠り運転もしており、この事故では、自動運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で現行犯逮捕され、起訴された。

検察は、バイクを検知しなかったのは、「機能の限界」であり事故の原因は、運転者の居眠りにあると主張し、弁護側は、事故原因は自動運転システムの自動ブレーキにあり、仮に居眠りをせず、自動ブレーキの不調に気が付き自らがブレーキを踏んだとしても間に合わなかったとして、無罪を求めていた。

当時この判決(3月31日)では、「自動運転機能のレベル2では、運転者がいつでも車を制御する用意をしておかなければならない」と、運転者に安全運転義があるとの原則を示した上で、バイクまでの距離などの状況から、居眠りをしていなければ衝突を回避できたとして、刑事責任を認定し、男性運転者に禁錮3年、執行猶予5年の有罪が言い渡した。男性は控訴せず確定した。

本年中に自家用車における自動運転レベル3が実用化されるほか、自動運転レベル4の移動サービスも実用実証される見込みだが、自動運転車が事故を起こした際、誰が責任を負うことになるのかについて、レベル2での事故責任の一例が裁判で示されただけであり、この問題が解決しわけではない。この点を社会は忘れてはならない。

 

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