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最高裁判所「警備業法(旧欠格事由)」違憲判断、最高裁が個別の法令を違憲と判断するのは史上14例目

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最高裁判所「警備業法(旧欠格事由)」違憲判断、最高裁が個別の法令を違憲と判断するのは史上14例目

警備業法第3条(旧欠格事由)では、成年後見人や保佐人を付けた場合、認知・判断能力の低下を公的に認められた人として、警備業法の欠格事由に該当するため、警備業を営むことや警備員として働くことができないとされていた

 原告の元警備員の男性は、憲法22条が保障する「職業選択の自由」や、憲法14条が定める「法の下の平等」に反するとして、国に損害賠償を求めた。
 2月18日最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)は、規定は違憲との初判断を示した。
 2021年10月の1審(岐阜地裁)は10万円、2022年11月の2審(名古屋高裁)は50万円の賠償を命じたものの、最高裁はいずれの判決も破棄し、規定の改廃を怠った国の「立法不作為」は認められないとして、国の賠償責任は否定し、原告側の請求を棄却した。
 成年後見制度は、認知症や障害で判断能力が不十分な人に代わり、財産管理や契約を支援する制度である。就業制限規定は1982年に設けられたが、人権侵害との批判を受け、警備業法では、2019年の改正によって削除された。削除されたのは警備業法だけでなく、国家公務員法や弁護士法など約180の法律から一括で削除されている。  
 原告の30代男性は、警備会社で交通誘導警備業務に従事していたとき、軽度の知的障害があったため、2017年3月に保佐人を付けた。ところが、会社からそれが警備業法の欠格事由に該当するため、雇用契約の終了を告げられたのを受け、2018年1月に提訴した。
 男性は、就労制限規定が設けられる過程で「必要な根拠が当時の国会で議論された形跡はなく、合理性がない」と主張。さらに、職業選択の自由を定めた憲法第22条と法の下の平等を定めた第14条に反し、この規定を放置し続けた国が規定の改廃を怠った「立法不作為」があるとして、賠償責任を求めた。
 これに対して国側は、人の生命や財産を守る警備業務を適正に実施するため認知・判断能力の低下を公的に認められた人の就労を制限することには、合理性があったと反論し、いかなる時点でも違憲性が明白ではなく、国会の立法不作為は認められないと主張していた。
 今回の裁判は、障害や高齢などによって判断能力に不安がある場合、財産の管理を親族や司法書士らに任せる「成年後見制度」を利用すると、警備の仕事に就けないと定めた警備業法の欠格事由である。
 警備業法に欠格条項ができたのは1982年。条項をつくった理由について、国は今回の裁判で、警備員による犯罪といった問題行為が相次いだことから  
 「警備員の質の向上を図るため」だった、などと説明している。
 欠格条項は約180の法律に定められていて、何らかの条件に当てはまる人に資格や免許を与えなかったり、特定の職業への就業を制限したりすることを定めていたが、全て削除された。
 この欠格条項については、2010年の有識者や関係省庁でつくる研究会が「成年被後見人(利用者)に関する資格制限を設ける場合は、必要性を慎重に検討する必要がある」との検討結果を示した。
 この結果は、成年後見制度を利用することと、仕事をできるかどうかは別の問題であり、安易に制限すべきではないという考え方を示したものである。  
 その後の2019年、国は「成年後見制度の利用を促すため」として、警備業法を含む約180の法律にあった欠格条項を削除した。

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