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マンション管理適正化の基本方針が決定 | 管理計画認定制度の認定基準も

マンション管理適正化の基本方針が決定 | 管理計画認定制度の認定基準も

 当サイトで今年(2021年)2月に報告した「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」の内容が正式に決まり、国交省が9月28日に公表した。中身は2月に案として紹介したものが土台になっている。この方針が目指すマンション管理の新制度の中で柱の一つとなっている「マンション管理計画認定制度」の認定基準も定まり、新たに新築マンションを対象にした「予備認定」の仕組みも加えられた。

 方針の概要は以下の通り。

 「前文」では、マンションが都市部を中心に重要な居住形態となっている一方、その維持管理には多くの課題があることを踏まえ、管理組合がマンションを適正に管理するとともに行政がマンションの管理状況等を踏まえて管理適正化の推進のための施策を講じることが必要だと記した。その上で以下の7項目を提示、それぞれに詳細な方針内容を付した。
 「一 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項」は、管理組合、国、地方公共団体、マンション管理士、マンション管理業者等の関係者についてそれぞれの役割を述べ、相互に連携してマンションの管理適正化の推進に取り組む必要があるとした。とりわけ管理組合はマンション管理の主体であるとして組合の一員である区分所有者に対して積極的に運営に関わるよう求めた。
 「二 マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項」では、地方公共団体が、国が掲げた25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合の割合の目標を参考にしつつ、適正化のために管理組合が留意すべき事項も考慮して区域内のマンションの状況に応じた適切な目標を設定することが望ましいとした。
 「三 管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)に関する事項」では、管理組合と区分所有者が留意すべき基本事項を記載し、地方公共団体が助言や指導を行う場合の目安、管理計画認定制度における認定の基準についても掲げた(具体的な内容については後述※)。
 「四 マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」では、修繕や耐震改修だけでは良好な居住環境の確保ができず、マンションの倒壊その他の被害から生命、身体及び財産の保護が困難な場合には、マンションの建替えを円滑に行い、より長期の耐用性能と安全性を確保することが重要だとした。
 「五 マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項」においては、国、地方公共団体、マンション管理適正化推進センター、マンション管理士等が、相互に連携しネットワークを整備するとともに、管理組合に対する必要な情報提供及び相談体制の構築等を行う必要があることを記載した。
 「六 マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項」は、地方公共団体が、地域の実情を踏まえた上で関係団体と連携しつつマンション管理適正化推進計画を策定することが望ましいとし、同計画策定にあたって留意すべき事項を列記した。
 「七 その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項」では、マンション管理士制度の一層の普及促進、管理計画認定制度の適切な運用、修繕が適切に行われていないマンションに対する措置、ICT化の推進などを掲げた。
          ◇
※ 地方公共団体が助言や指導を行う場合の目安、管理計画認定制度における認定の基準
【公共団体が助言・指導・勧告を行う判断基準の目安】
○管理組合の運営
・管理者等が定められていない
・集会(総会)が開催されていない
○管理規約
・管理規約が存在しない
○管理組合の経理
・管理費と修繕積立金の区分経理がされていない
○長期修繕計画の作成及び見直し等
・修繕積立金が積み立てられていない
【管理計画認定の基準】
○管理組合の運営
・管理者等及び監事が定められている
・集会(総会)が定期的に開催されている
○管理規約
・管理規約が作成されている
・管理規約にて下記について定めている
緊急時等における専有部分の立入り
修繕等の履歴情報の保管
管理組合の財務・管理に関する情報の提供
○管理組合の経理
・管理費と修繕積立金の区分経理がされている
・修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない
・修繕積立金の滞納に適切に対処されている
○長期修繕計画の作成及び見直し等
・長期修繕計画(標準様式準拠)の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金が集会(総会)で決議されている
・長期修繕計画が7年以内に作成又は見直しがされている
・長期修繕計画の計画期間が30年以上で残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている
・長期修繕計画において将来の一時金の徴収を予定していない
・長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない
・計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっている
○その他
・組合員名簿、居住者名簿が適切に備えられている
・都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものである
          ◇
マンション管理計画認定制度は来年4月1日に施行するが、認定申請を行う管理組合と認定審査を行う地方公共団体の双方の負担を軽減することを目的に、(公財)マンション管理センターが導入する管理計画認定手続支援サービス(オンライン)を導入する予定だ。(概要は下図を参照)


また、冒頭で触れた新築マンションを対象とした仕組み(予備認定)は今後具体的な制度の検討を進めていく予定だが、現状で考えられている概要は下図の通りだ。

基本方針の全文は国交省の「修繕 (mlit.go.jp)」で。  

 

(阿部 治樹)

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