特別連載 共栄セキュリティサービス株式会社 我妻社長 ①
インタビュー対象者
共栄セキュリティーサービス株式会社
東京都千代田区九段南1丁目6番17号 千代田会館
代表取締役 我妻 文男
電話番号:03-3511-7780
今回は、警備業界をこれから背負って立つ若い後輩たちが、我妻社長が一代で築きあげられ上場企業を目指すのは夢ではないと、いうメッセージを記事にして将来ある多くの若者に夢と希望を持たせることによって、より多くの業界企業が発展し、ひいては、警備業界の更なる信頼を高め、国民の安全・安心の糧になればと我妻社長のインタビュー記事を企画したものです。
設立から35年をかけて築かれました歴史がありますので1回では掲載しきれません。そこで、2回に分けて掲載する、連載となります。
記者;まず、上場日と初値2,866円についての感想と感動をお聞きしたい。
我妻社長;上場日に東京証券取引所でのセレモニーで上場通知書を手にした時と、上場記念の鐘を突いた時は、努力が報われた気持ちで、感無量でしたね。
上場日の夜は、幹部社員と箱根の温泉宿で決起集会をやりました。もちろん新規上場の打ち上げのでもありますが、新規上場会社の第一歩としての決起集会でもありました。
初値については、売り出し価格としては2,100円にしていたのですが、2,866円がついたのでホッとひと安心しました。創業から34年経ってからの上場でして、創業者として、社長として、楽しい時も苦しい時も、時には心が折れそうになったこともありました。でも、初めて株価というかたちで市場からの評価をいただいた時には、嬉しく思うと同時に身の引き締まる思いでした。
記者;現在の株価は、5,000円前後だったと思いますが、この価格の評価はどう思われますか。
我妻社長;上場したとはいえ、当社を知っている投資家の方は、まだまだ少ないです。この一年は、当社や当社のビジネスを知っていただくことに注力してきました。意外と投資家の皆さんは人的警備ビジネスを知りません。その結果、投資家の方の目を向け、当社の事業価値に対する理解を深めていただいた結果、現在の株価をつけることができたと認識しています。
株価というのは将来の期待を含んでいますから、その市場からの期待を受け止め、身の引き締まる思いです。当社の更なる成長・規模拡大を進め、東証一部を目指してまいります。
記者;上場されて、この2月をもって1年が経過することになりますが、この1年を振り返られて、思惑どおりの1年となりましたか。
我妻社長;昨年と今年は、国際的なビックイベントの年です。当社でも多くの警備を担当させていただいています。当社は、この国際的ビックイベントを企業成長の起爆剤と位置付けているため、国際的イベント対策本部を設置して積極的に取り組んでいます。また、重要施設も任せていただけるようになりました。
他にも、新聞社や投資専門誌、ラジオなどのメディアに取材していただくことも増え、上場会社として市場の期待を背負っていること、そして社会的責任の大きさを実感しています。特に、社内への発信を含めてそうですが、発言に対する責任の重大さ、会社の行動に対する説明責任の大きさは、強く実感しています。
記者;上場によって得られる資金は、どのように活用されるのか展望をお聞きしたい。
我妻社長;市場から成長への期待を込めてお預かりした資金ですから、成長・規模拡大などによる企業価値を向上させることで、株主の皆さまにお応えしなければなりません。
当社では、成長・規模拡大のため、4つの使用使途を定めています。
まず、1つ目は人材採用と人材育成です。
これからの時代に即した採用活動の強化、働きやすい職場づくり、そして社員教育に充てていきます。
2つ目は、新規エリアへの進出です。
事業所や社員寮の設置、採用活動などの事業活動費です。
3つ目としては、社内基幹システムの構築です。
警備員数1万人になっても利用できる基幹システムを構築します。
4つ目は、事業生産性向上のための投資です。
効率化した魅力的な警備体制をご提案するため、そして人手不足解消のため、顔認証や指静脈認証等を活用した警備体制を模索していきます。しかし、システムを運用するのはあくまで人的警備です。
記者;警備用機器がより精密に成長しても警備員の対応が十分でなければいかされない。人的警備の重要性を痛感します。
記者;そもそも警備会社をやろうと思われたきっかけは何ですか。
我妻社長;大学生時代に警備のアルバイトをしたことがきっかけで、警備業界に足を踏み入れました。当時は、新宿で施設警備をしていました。そして大学卒業と同時に警備会社に就職したのですが、当時はバブル期直前でしたから、電柱の地中化工事等あまりに警備需要が多いことに驚き、26歳の頃、自ら先頭に立ってやってみようと思い、会社を立ち上げました。
記者;現場を知っているからこそ会社をここまで大きくされたのですね。
記者;創設が35年前ということですが、交通誘導警備業務は、第1期黄金時代が昭和50年から56年、第2期が57年から63年、第4期が平成に入ってからとなるのですが、警備業法の大きな改正後の60年の設立ということは、どちらかといえば後発企業であるのにもかかわらず、警備業法が改正されて教育の義務が拡充され、罰則も重くなるなど厳しい時代の中にあって、利益を上げて成させるには、相当な理念と大変な努力をされたことと思います。
そこでまず、企業理念に掲げられている「誠実」かつ「確実」についてお聞かせてください。
我妻社長;私どもは、警備業を通じて社会貢献できる企業です。当社は、法令を遵守し社会への責任を果たしていくことで、社会から信頼される企業となることを目指しています。その中で、日頃の企業活動、警備事業を通じて絶対にブレてはならないものが、「誠実」かつ「確実」です。
社員には、「誠実」かつ「確実」を励行してもらうために、行動規範を配布し、日頃から携帯してもらっています。
記者;我妻社長は、ホームページの社長メッセージで「教育のレベルは、会社のレベル。」というスローガンを掲げておられますが、警備業界は「教育なくして警備業はない」を昭和55年からスローガンとして掲げてきました。しかし、平成16年の業法改正まで、教育の懈怠、虚偽記載は目に余る数でした。その時代にスローガンを掲げられた要因はなんですか。
我妻社長;このスローガンを制定したのは2000年の施設警備参入の時です。スローガン制定のキッカケは、警備員個々の警備品質に差があることに問題意識を持ったことでした。特に、施設警備は手順に沿った確実な業務履行が問われ、警備員は一定以上の警備品質における標準化が求められます。そこで、施設警備参入にあたって教育の重要性を再定義してみた時に、このスローガンを思いつきました。警備品質の根幹は、決して警備員個々の能力・技量ではなく、教育する側にあるものだと再定義し、このスローガンを制定しました。以来、これまで当社の警備品質を支え続けてくれています。
上場会社になる過程で、コンプライアンス違反はできない体制になりましたが、だからこそ中身にこだわって教育をしています。都内には研修センターを設置し、訓練用のセキュリティーゲートや自動火災報知設備、消火栓など備えています。充実した教育訓練が行われています。