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先人からのメッセージ~碑に刻まれた災禍の記憶~ ⑬ | 実は神奈川の被害が甚大だった関東大震災

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先人からのメッセージ~碑に刻まれた災禍の記憶~ ⑬ |  実は神奈川の被害が甚大だった関東大震災

先人からのメッセージ~碑に刻まれた災禍の記憶~ ⑬

 

 「天災は忘れたころにやって来る」。物理学者・寺田寅彦(1878~1935)のことばと伝わります。備えをおこたってはいけないという戒めの名言として知らない人はいないでしょう。ただ、私たちはその重みをどこまで実感しているでしょう。近年の出来事を振り返ると「こんなこと想定外だった」と釈明されることが多すぎはしないでしょうか。実のところ人間は元々そう言いたがる生き物なのかもしれません。そんな本性を知っていたから、先人は消してはいけない記憶を碑に刻んで後世に伝えようとしたのではないでしょうか。先人のそんなメッセージの遺る碑が日本各地にあります。国土地理院は天災を後世に伝えるそうした碑の記号を新たに作り、2019(令和元)年から「自然災害伝承碑」として地理院地図に載せ始めました。私たちも、人々の安全と安心を守るためのセキュリティ・ニュースを発信する会社として、天災はもちろん、人が引き起こした禍の記憶を伝える碑も各地に訪ね、先人からのメッセージを紹介したいと思います。「想定外」が一つでも減ることを願いつつ。

 
 

実は神奈川の被害が甚大だった関東大震災

 

列車直撃した東海道線根府川駅地すべりの犠牲者弔う碑

 
 
関東大震災殉難碑
碑の概要
碑名 関東大震災殉難碑
災禍名 関東大震災
災禍種別 地震による地すべりと津波
建立年 1973(昭和48)年
所在地 神奈川県小田原市根府川、JR根府川駅内
伝承内容 利根川「決潰口碑」 関東大震災によって引き起こされた地すべりによって駅に進入してきた列車がホームと駅舎ごと押し流されて45m下の海に転落。乗客と乗員あわせて111人が亡くなった。近隣のトンネルでも7人が亡くなった。
現在の根府川駅舎。左側の故屋根の軒先に碑がある
現在の根府川駅舎。
左側の故屋根の軒先に碑がある
 関東大震災(1923年)といえば東京都が被害の中心だったように思われがちだが、実際には震源地の真上にあたる神奈川県の被害が甚大だった。震度7の激震地域は広い範囲に及び、東京にはなかった津波被害では死者が200~300人に達している。約800人が亡くなった土砂災害の大半も神奈川県で発生した。そうしたことを象徴するかのような出来事が、東海道線根府川駅(現小田原市)の地すべりである。150人の乗客を乗せ、地震発生とほぼ同時に駅にさしかかった列車が、直後に押し寄せた土砂によって駅舎もろとも海に転落。約110人が亡くなった。犠牲者を弔う碑が、現在の駅舎内に建てられている。
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