働き方改革(新労働基準法)4月1日から施行
働き方改革実現推進会議が提出した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が2019年4月1日から施行された。
この法律は、「長時間労働の是正」、「正規・非正規の不合理な処遇差の解消」、「多様な働き方の実現」という3つが柱になっている。
総務省統計局の労働力調査では、正規の職員・労働者は、3,500万人。非正規の職員・労働者は2,118万人であり、雇用者の約4割は非正規雇用労働者が占めている中で、働く現場には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者という労働者の間に不合理な待遇差があると断定している(厚生労働省)。
よって、当該法律によって厚生労働省はこれを解消するために、非正規雇用労働者の処遇改善と、非正規雇用労働者から正規雇用労働者への転換の支援を推進している。
警備業は、75パーセントが50人未満という中小零細企業の集まりであり、また、そのほとんどの企業の警備業務の種別の大半が交通誘導警備業である。したがって、非正規雇用労働者が多い。
働き方改革の柱の1つに、不合理な待遇差の改善を求めているので、同一の賃金支払いや年次有給休暇取得義務化などの改善が必要となるが、「人件費」の負担や非正規雇用労働者を育成する手間という負担も増えることに懸念する。
また、人手不足が著しい現下において、長時間労働の是正(交通誘導警備業務においては5年間の適用猶予)については、長時間労働が禁じられると総労働時間がますます減ってしまい総労働時間の減少は、企業の競争力を弱めてしまいかねないおそれが懸念される。
働き方改革の中で、時間外労働の上限について、「月45時間、年360時間を原則とし、臨時で特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む。)を限度に設定」等、労働時間に関する制度の見直し(施行:2019年4月、中小企業は2020年4月)がされている。
この法は企業規模の大小に関係なく適用され違反すると、罰則(6か月以下の懲役や30万円以下の罰金等)の規定がある。
罰則を受けると警備業法における指示や営業停止などの行政処分の対象となることに留意し、新労働基準法をはじめ、関係する法令順守が求められる。