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マンション管理の新制度 | ① 管理認定制度と認定基準

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マンション管理の新制度 ① 管理認定制度と認定基準 国交省が年度内に実施に向けた「案」準備

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国交省が年度内に実施に向けた「案」準備

昨年6月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)と「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(マンション建替え円滑法)の一部が改正・公布された。このうちマンション管理適正化法では、マンション管理の適正化を図るために国土交通大臣が推進のための基本方針を策定することや、それに基づいて地方自治体がマンション管理適正化推進計画を作成する制度、その制度のもとで適切な管理計画を持つマンションに認定を与える管理計画認定制度も新たに規定された。これを受けて国交省は昨年7月に、上記の国の基本方針と認定の基準について議論する「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」を設置。検討会は今年1月29日までに4回の会合を開いた。国交省住宅局市街地建築課マンション政策室の担当者によると、基本方針と認定基準は「案」が年度内にまとめられる見込みで、その後パブリックコメントを経て来年度前半に正式に公表される。それに先立って当サイトは、それぞれについてこれまで明らかになった内容を、2回に分けて報告する。

検討会の委員は、座長に齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授が就き、大学教授、弁護士、地方自治体関係職員らのほか公益財団法人マンション管理センターと特定非営利活動法人全国マンション管理組合連合会、一般社団法人マンション管理士会連合会からも委員が加わり、あわせて10人で構成する。

 

管理認定制度と認定基準

 

検討会(第2回)の資料2より
検討会第2回の資料2より

委員会は昨年8月の第2回検討会で、「マンション管理計画認定制度における認定基準」の素案について話し合った。国交省が提示した素案の概要は以下の通りだ。
国交省は認定制度のイメージを左図のように示す。認定基準が定められるのは、⑴修繕その他管理の方法、⑵修繕その他の管理に係る資金計画、⑶管理組合の運営状況、⑷市区(町村は都道府県)独自の管理適正化指針との整合性、の4項目について。この基準をクリアして認定を取得したマンションについては、「適正に管理されたマンションであることが市場において評価される」「区分所有者全体の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなる」といったメリットが期待できるという。

⑴修繕その他管理の方法 についての基準素案は、1-1「長期修繕計画が管理組合の集会で決議されていること」、1-2「長期修繕計画の作成日または見直し日が5年以内であること」、1-3「長期修繕計画期間が25年以上(新築後5年以内の場合は30年以上)、かつ残存期間内に2回以上の大規模修繕工事を含むものであること」、1-4「適切な推定修繕項目、当該工事の予定時期及び予定費用が長期修繕計画に明記されていること」。1-4の推定修繕項目については、少なくとも「長期修繕計画標準様式」に定める19の中項目を含むことも条件となっている。

⑵修繕その他の管理に係る資金計画 については、2-1「計画期間25年以上(新築後5年以内の場合は30年以上)、かつ残存期間内に2回以上の大規模修繕工事を含む長期修繕計画に基づき修繕積立金の額が設定されていること」、2-2「長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額が著しく低額でないこと(計画期間全体で修繕積立金の平均額⦅㎡当たり単価⦆が一定額以上であること)」、2-3「均等積み立て方式でない場合または一時金の徴収が予定されている場合、将来の修繕積立金の変更(増減)の予定時期及び変更後の金額(住戸ごとの修繕積立金)についてあらかじめ集会で決議されていること、一時金の徴収の予定時期及び金額についてあらかじめ集会で決議されていること」、2-4「計画期間内に借入金を予定している場合、長期修繕計画が借入金の返済が完了するまでの計画期間となっていること」、2-5「管理費と修繕積立金が区分経理されていること」、2-6「修繕積立金会計から他の会計(管理費会計等)への充当がされていないこと」、2-7「直前の事業年度の修了の日時点において、修繕積立金の3カ月以上の滞納住戸数及び滞納額が全体の1割以内であること」、を提示している。

⑶管理組合の運営状況 では、3-1「管理者等が選任されていること、管理者等が建物全体の管理権限を保有していること、管理者等が複数選任され管理者ごとに権限が分かれている場合、その全員により建物全体の管理権限が保有されていること」、3-2「監事が選任されていること」、3-3「集会が年1回以上開催されていること、議決権総数の半数以上が出席(書面または代理人による行使を含む)していること」、3-4「区分所有者及び居住者の名簿を備えており、各名簿について年1回以上、内容の確認が行われていること、管理規約に区分所有者及び居住者が変更となった場合は届け出を行うことが規定されていること」、3-5「管理規約で『専有部分への立ち入り』『修繕等の履歴情報の管理等』『管理情報の書面提供』について標準管理規約に照らして適切な内容が規定されていること」、を挙げている。

⑷市区(町村は都道府県)独自の管理適正化指針との整合性 について素案は示されておらず、市区が今後策定する内容を踏まえてのこととなる。

 


 

この素案に対し、委員から次のような意見が出た(抜粋)。

1-2について:「長期修繕計画の作成日または見直し日が5年以内であること」としているが、理事会・総会の開催時期との兼ね合い等から「おおむね5年」や「5年前後」などとしてはどうか

2-2について:修繕積立金単体でみるのか、駐車場使用料等の収入も含めるのか整理する必要がある

2-3について:将来の増額や一時金の徴収をあらかじめ決議することはほとんどなく、資金が不足する場合は一時金の徴収よりも借り入れを考えるのが一般的だ

同:一時金の徴収は難しく例外的な措置であるため、認定の基準に入れなくてもよいのではないか

同:段階積立方式と一時金方式は認定の対象とすることも考えられるのではないか

2-6について:修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこととしているが、潤沢な修繕積立金があり組合員への余剰金の還元を決議する場合もありうるため、誤解を招かない基準の示し方が必要だ

2-7について:3カ月以上の滞納が出た場合に、管理組合として適切に対処できるのかという点を確認しておくことが望ましいのではないか

同:滞納戸数が全体の1割以内という基準は、少戸数のマンションにとっては厳しいのではないか

3-3について:理事会の開催状況に関して、たとえば2カ月に1回、8割以上の出席、監事が8~9割は出席しているといった基準を追加してはどうか。ただし、理事会を置かないいわゆる第三者管理方式への配慮も必要だ

同:集会が年1回開催されていることについて、昨今のコロナ禍で開催を見送る場合も想定されるため、「特段の事情がない限り」と追記してはどうか

3-4について:年1回以上の名簿の確認はマンション管理に対する意識啓発の観点からも重要。実際に確認を行っているマンションは少ないのではないか。建替え等を検討する際に住民票・登記簿・実際に住んでいる住所が整合していないことが多い

3-5について:滞納対策の取り組みについても管理規約上の規定を確認してはどうか

 国交省住宅局市街地建築課マンション政策室の担当者は、こうした委員からの意見を踏まえて素案を練り直し、当初の予定にはなかった5回目の検討会を3月中に開いて案をまとめる予定だとしている。

新制度が施行されるマンション管理。管理組合の役割はより重要になる
新制度が施行されるマンション管理。管理組合の役割はより重要になる

 
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(阿部 治樹)

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