2021年4月の入社式は約6割の企業がリアル・対面で実施
1都3県の緊急事態宣言が3月21日に解除されたが、コロナ禍であることに変わりなくリバウンドによる第4波発生が危惧されている。そんな中、今年も各地で桜開花の声が聞かれる季節が訪れた。例年であれば花見や歓送迎会、入学式、入社式等で世の中が賑々しくなる季節のはずが、昨年に続いて今年もこれらの行事は自粛せざるを得ない状況。特に、新社会人にとって入社式は人生の節目となるイベントのひとつであり、企業側も晴れの舞台を用意して迎え入れたいという思いが強いはず。はたして、今年4月に新入社員を迎える企業が、入社式を行うのか行わないのか、気になるところだ。
株式会社学情(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中井清和)が、企業の人事担当者を対象に行った「2021年4月入社の入社式・新入社員研修の実施方法」(2021年2月22日〜26日の期間にWeb上で実施。有効回答数:545件)に関するアンケートによると、「例年と同規模で、リアルで実施」が34.3パーセントで最も多く、次いで「規模を縮小して、リアルで実施」が26.6パーセントで、リアルで実施する予定の企業が60.9パーセントとなった。2020年4月の入社式と比較すると、9.6ポイント減少していることから、新型コロナウイルスに対する警戒が強まっているものと推測される。そんな中、「内定式、懇親会がオンラインでの実施だったので、入社式はリアルで実施したい」「入社式は、社会人になる節目。リアルで式典として実施し、門出を祝ってあげたい」等、新入社員に対する企業側の思いも強い。
「オンラインとリアルを組み合わせて実施」は11.0パーセントで、「新入社員は各拠点に集まり、本社とオンラインでつないで実施する」「会場を分散し、各会場をオンラインでつなぐ」等とした企業が選択。ほか、「オンラインで実施」6.6パーセント、「検討中」10.8パーセント、「実施しない」10.6パーセントだった。「検討中」とした企業からは、「首都圏の緊急事態宣言解除後に最終判断をする」「リアルでの実施を予定しているものの、オンラインに変更も可能なように、両方の準備をしている」といった声が寄せられた。
株式会社学情・営業部門担当執行役員の歌津智義さんによると、この1年間でWebセミナー、Web面接、オンライン研修等、採用・教育におけるリモート化が急速に進み、多くの企業がリモートでの採用や教育を経験した結果、最近では「リアル」に回帰する動きが出てきている。若手社員の教育におおても「オンラインだけではモチベーションの把握が難しい」「リアルな場でのコミュニケーションがあってこそ、社会人としての自覚や社員としての帰属意識を醸成することができると思う」等、人事担当者から「リアル」の重要性を指摘する声がよく聞かれるという。特に、2021年4月入社の新入社員受け入れで、2020年入社と異なる点として挙げるのが、選考中や内定を出した後の「リアル」でのコミュニケーションが大きく減っていることだという。「選考・内定式も全てオンラインで実施した」「内定者同士で顔を合わせたことが一度もない」という企業もあり、「オンラインでのコミュニケーションが増えているからこそ、社会人になる節目はリアルで祝ってあげたい」という声も寄せられていて、企業は感染症対策に注意しながら「リアル」でのコミュニケーションを模索している傾向がみられるという。
株式会社東京商工リサーチ(住所:東京都千代田区、代表取締役会長:鈴木純雄)が実施した「第14回 新型コロナウイルスに関するアンケート」(2021年3月1日〜8日の期間にWeb上で実施。有効回答:9,832社)における、今春の入社式の開催についての調査では、「対面で開催する」58.63パーセント(1,882社)、「オンラインで開催する」9.47パーセント(304社)、「開催しない」31.9パーセント(1,024社)という結果だった。(4月に入社予定者がいる企業のうち3,210社からの回答)
いずれのアンケート調査でも、60パーセント前後の企業が「リアル・対面」での入社式を実施する予定であることが判明。コロナ禍でリモート化が進む状況下でも、入社式はリアル・対面でのコミュニケーションを重視して実施する企業が多いことがわかった。
(藤原 広栄)