道交法改正“あおり運転厳罰化”“高齢者免許更新に技能検査”
2日、衆院本会議で走行を妨げる「あおり運転」を「妨害運転罪」として新たに規定する改正道路交通法が可決、成立した。
2日に改正道路交通法が可決、成立し、来週中に公布され、6月中にも施行される見通しである。
改正道路交通法で対象となる行為は、「不必要な急ブレーキ」、「急な割り込み」、「車間距離の不保持」といった10類型を規定している。また、通行を妨害する目的で類型した行為を繰り返すなど、交通の危険を生じさせる恐れがある場合を「あおり運転」として取り締まるという。これに違反した場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。
そして、高速道路や一般道で停車させたり急ハンドルを切らせたりして著しい危険を生じさせた場合は、酒酔い運転と同様に、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されるなど厳罰化された。また、同国会で審議中の「自動車運転死傷行為処罰法改正案」とは異なり、事故が起きなくても適用される。当然行政処分もある。違反すれば即免許取り消しとなる。
警察庁によると、車間距離を極端に詰めるなど道路交通法に違反したとして検挙された「あおり運転」は、2019年に全国で1万5065件、2018年の検挙数を2000件余り上回る件数となっているので、運転者は改正道路交通法をよく理解し、一層安全運転に努めることが肝要である。
高齢者の免許更新に技能検査導入
改正道路交通法には高齢ドライバー対策も盛り込まれた。
信号無視など、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに対して、免許の更新時に車を運転して技能を確認する検査を義務付けた。技能が一定の基準に達しない場合は、更新を認めないことになった。
新たに導入される運転技能検査は、免許更新時に車の操作の能力をチエックする制度であり、更新半年前から検査が受けられ、何回でも受け直すことができるものの、合格しなければ更新は認められないので、不合格のままなら失効することになる。
昨年4月、東池袋で赤信号を無視して車を暴走させ、横断歩道を渡っていた母子を死亡させたほか、男女8人と助手席の妻に重軽傷を負わせた事故(男(88歳)が過失運転致死傷罪)が改正のきっかけになった。
この高齢ドライバー対策の技能検査導入は、再来年の夏までに施行される見通しである。