警備業も期待した最低賃金現状維持
厚生労働省の諮問機関「中央最低賃金審議会」は、現行水準の維持が適当という答申をまとめた。
中央最低賃金審議会は、新型コロナウイルスの影響が大きく引き上げ額を示すのは困難として、引き上げ額を示さなかった。これは異例であり、リーマンショックの翌年の2009年以来11年ぶりである。
最低賃金額は、安倍政権が全国平均1,000円を目指して、ここ4年間は、毎年3パーセント程度引き上げてきて、東京都は1,013円、全国平均901円まで上がってきた。当該審議会の3日間の協議は、労使間が求める意見の隔たりは大きく、その溝は埋まることはなく、22日審議会は引き上げ額を示すのは「困難」とした結論で決着した。
最低賃金は地域によって異なり、最低賃金を引き上げるために地域が参考とするのが、当該審議会の引き上げ額である。
当該審議会の実質引き上げのない答申の影響は大きく、この答申によって、都道府県は、現行の最低賃金を据え置くという考え方が一般的であろう。
この答申は残念であるが、警備員の賃金アップにも影響し、労務単価の原価に値する賃金が実質据え置きとなれば、警備料金の積算額の根拠にも影響するのではないかと懸念する。
世界的な経済の衰退を招いた新型コロナウイルスとの戦いは、厳しい状況にあるものの、日本政府は、戦いながら経済の回復を目指す方針を明らかにしている。つまり、新型コロナウイルからの感染防止は、自己判断と自己責任によるところを明確にした。いわゆる新しい社会構造で健康を維持することの方法論を国民一人ひとりが考え行動する第一歩と言えよう。
警備業、ビルメンテナンス業は、警察官や医師・看護師と同等の職業「エッセンシャルワーカー(必要不可欠な労働者)と英語で称賛される職業である。よって、新型コロナウイルス感染が拡大する中にあって、そのウイルスを避けることなく、闘いながら存在感を得る職業である。ゆえに、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職業に相応しい、賃金を得ようとするのはごく当然のことと考える。
警備業、ビルメンテナンス業界の皆さんは、過酷な職業環境にある。したがって是非、新型コロナウイルスと闘いながら一層存在感を高め、社会的な地位向上に尽力されることを心から祈念したい。警備業は半世紀にわたって安全産業の中核を成してきました。最低賃金に影響されることなく自力で賃金を上げていただきたい。