警備人材育成センターが講師研修会(雑踏警備業務)を実施
国家公安委員会登録講習機関の警備人材育成センター(理事長:松浦晃一郎)は、令和6年9月14日から16日までの3日間に渡り、警備員等の検定に係る雑踏警備業務講習会の講師を対象とした、令和6年度第2回定期講師研修会をポリテクセンター埼玉で実施した。
研修初日には、同センターの野村事務局長から研修の目的と課題について訓示が述べられた。そのテーマは「原点に戻る。」であった。その要旨は、登録講習機関として、引き続き警備業法等の規定や国家公安委員会の示す講習会の実施基準等を遵守して、公正で適切な講習会を実施すべき旨を説いたほか、「1)受講者の目線に立ち、この程度は理解しているだろうなどという先入観を排除すること、2)「なぜ、どうして。」なのか、その理由や根拠について分かりやすい解説を加えることによって、受講者に「難解なことは分かりやすく」理解させること、3)訓練資機材を活用して講義するなど、学科と実技を連動させた解説を行うこと、4)実技試験の一部であり、現場においても大切な礼式や基本動作についても細やかな指導を行うことによって警備員らしさを身に付けさせることも大切な教育である。」と、述べられた。
このような訓示を踏まえ、学科講義に係る研修については、各講師が講義のデモンストレーションを行って、互いに評価・指摘し合い、より分かりやすく効果的な講義の向上に努めた。実技訓練に関しては、要点や指導のポイントを確認するとともに、模範演技の反復訓練に励み、実技試験の採点要領についても公正で適切な採点方法の錬成を図っていた。
警備員等の検定資格は、都道府県公安委員会が試験を行う、いわゆる直接検定を受験して取得する方法がある。これは試験のみ実施されるものであるが、同センターが行う登録講習機関の講習会を受講し、その課程を修了する方法によれば、その講習会の課程を修了することで直接検定試験が免除されて合格するのである。当然、講習会でも修了の課程において考査という試験が行われるものの、直接検定との大きく異なるのは、警備業法上の要件を満たした教育・指導の経験豊富な講師による学科講義や実技訓練を受けるところにある。そして、その試験の内容は、警備員等の検定等に関する規則の規定によれば、「受講者が講習の内容を十分理解しているかどうか的確に把握できるものであること。」とされている。つまり、講師は講習の内容が十分理解できるような講習を実施しなければ受講者は講習の課程を修了できないということである。したがって、講師の果たす役割は大変重要なのである。
講習会に際し、たとえ警備業法の要件を満たした講師であったとしても、その講義が教本を単に朗読するだけのものであれば、自習するのと何ら変わりはなく、学科講習の意義はない。また、実技試験の採点判断基準が講師によって異なるようなことがあれば、減点される者とされない者が生じる可能性があり、これでは採点の公平性が担保されない。
このように、国家公安委員会の登録講習機関としての講習会が公正かつ適正に実施されるためには、講師の継続的な育成による講師能力の均一化が不可欠である。また、研修会を通じて講師間の情報共有や連帯感の強化が図れることにも大いに意義があるといえよう。
同センターは、今年で設立10年を迎えるに至って実施する種別は、空港保安警備業務、施設警備業務、雑踏警備業務、交通誘導警備業務、貴重品運搬警備業務の5種別があり、その講習会に年間3千200名余りの警備員等が受講している、この実績は極めて大きい。
人材不足が深刻な警備業界にあって、検定資格者の輩出は警備員の差別化、警備料金の適正な確保に好影響を及ぼすのもで、業界発展に欠かせない要素である。よって、同センターの人材育成事業へ今後も大いに期待したい。