空き家の窃盗被害昨年11億6千万円 警備業務で守る知恵は出せないか?

空き家となっている物件を狙った窃盗事件が昨年1年間で8192件、11億6千万円の被害となっている(警察庁)。その狙われる要素として、空き家なら人目に付きにくく「入りやすい」、そして侵入後も「物色しやすい」、さらに、被害発見に時間がかかるといったことが動機にあるようだ。また、捕まった外国人は、「空き家なら捕まるリスクが低いと思った」と供述しているという(読売新聞1月15日朝刊発行から)。
近年、空き家を改築して、宿泊施設や外国人のセカンドハウス化するなどの有用活用を目にするものの、周囲を見るとその多くが管理されてなく放置されているのが見につく。
総務省調査では、空き家は全国に900万戸の過去最高となっており、うち、住居や賃貸目的のない物件は386万戸に至っているという。
空き家の放置は、窃盗等の対象となるだけではない。最も危惧されるのは漏電、雷の落下、不法住居者の失火による火災が生じる場合である。さらに、廃虚が進むと倒壊に至る危険性や無主物などの動物の住処、ごみや腐敗物による環境衛生にかかわる問題もある。
犯罪や火災といったセキュリティー対策は、警備業に関心のある分野ではあるが、こういった事件化することを防止するために早期の発見、初期対処することを目的とする場合には、ボランティアでは警備業務を実施できない。
その点に考慮して、安価で有用な管理システムや予防対策を考案する価値はある。機械警備業務で監視すれば、警備業法による即応体制の整備対象となるから、依頼する側からするとその費用が負担となる。そうなると、機械警備業務とならない遠隔監視の方法や行政や地域ボランティアの協力を得た安価でできる監視方法のほか、監視カメラを空き家に設置することによって、そのカメラが周辺や地域の防犯に活用できるとなれば、何らかの補助対象となる要素はある。
いずれにしても、空き家の無放置は周辺環境に悪影響を及ぼす。地域と行政そして、かかわりがあろう産業の三位一体で知恵を出して、安全衛生な地域つくりが不可欠である。