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株式会社アーク警備システム 代表取締役会長 兼 社長:嶋崎八洲男④ 【私の警備道】~第4回 先端技術の活用と安全安心街づくりへの取り組み~

特集記事インタビュー
株式会社アーク警備システム 代表取締役会長 兼 社長:嶋崎八洲男④ 【私の警備道】~第4回 先端技術の活用と安全安心街づくりへの取り組み~

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第4回 先端技術の活用と安全安心街づくりへの取り組み

 


 

会社の威信をかけて臨んだイベント警備

 

 警備会社として創業して28年あまり。現在は10支社、400人もの従業員を抱えるまでになったアーク警備システム。ここまで事業が拡大したのも、「お客様に喜ばれる警備」を追求し、実施してきた結果だという。

 警備会社は警察とは違い、広くあまねく国民のために奉仕するのではなく、お客様の需要に基づいてサービスを実施する民間企業だ。どうしたらお客様に喜んでもらえるのか? そのためにどんな警備をすべきか? 常にその原点に立ち戻り、クリエイティブにありとあらゆる手段を講じてその実現を目指す。自力で限界があるときには科学の力や社外の専門家の力をも利用する。「AI等先端技術と警備で安全安心の未来を創る」という会社のモットーは、そんな考え方から生まれた。

 このモットーを実践した典型的な事例を紹介する。

歌舞伎町で行われたONE-EAST-東アジア文化祭り
歌舞伎町で行われた
ONE-EAST-東アジア文化祭り

 2018(平成30)年、全国屈指の繁華街・新宿区歌舞伎町のシネシティ広場で「ONE EAST 東アジア文化祭り」というイベントが行われた。開催にあたって新宿区と新宿警察署は、以前に行われた民族系イベントで機動隊が出動する騒ぎが起きたことから開催に難色を示していた。しかし「ONE EAST 東アジア文化祭り」主催者側は、東アジアの交流を深めるために意義のあるイベントとして、知名度の高い歌舞伎町での開催にこだわっていた。新宿警察署からは、開催するのであれば完璧な警備体制を敷くことが条件として提示されたが、予算的に厳しかった。名だたる大手警備会社も敬遠した案件だった。

 困ったイベント主催者側が相談を持ちかけたのがアーク警備システムだった。会社創立25周年を迎え、新規事業を立ち上げてさらなる飛躍を期していた嶋崎は、なんとかしてイベントを開催できないものかとスタッフとともに熟慮を重ねた。そこで秘策が生まれた。

歌舞伎町で行われたONE-EAST-東アジア文化祭り
ONE EAST 東アジア文化祭りの警備に用いられた
テロ対策未然防止用監視カメラ(左)と警備の様子(右)

会場の出入り口は2か所に限定し、ゲートにはテロ対策未然防止用監視カメラ「DEFENDER-X」を配置。このカメラは動画から人の精神状態を解析し、不審な行動を事前に検知し不審者を特定する先端システム。警備員は5人。うち2人はアークと親交の深い、国連軍下での活動経験のあるテロ対策専門員。この斬新なプランに新宿警察署も賛同し協力を約束、シームレスな24時間連携体制が実現したのだ。新宿区の了解も得られ予定通り11月9日から11日まで、3日間にわたったイベントは実行され、大盛況のうち無事終了した。

 閉会式で新宿区の関係者から「これこそ国際都市新宿区歌舞伎町がやるべきイベント」というコメントが得られ、警備会社としてお客様に真に喜ばれかつ街の安全安心に貢献できたと、してやったりの気持ちだったという。


 

実績を積み重ねて多様化するニーズに応える

 

 先述の「ONE EAST 東アジア文化祭り」での実績がきっかけとなり、歌舞伎町シネシティ広場一帯の地権者・東急グループから依頼され、2019(令和元)年12月10日から28日に歌舞伎町Xmasスケートリンクの警備も実施している。ゲストに安藤美姫を迎えた実に華やかなイベントで、会場設営と撤去時の交通誘導警備から営業時間中の雑踏警備、夜間の保安警備まで含め、24時間体制ですべての警備を任された。

 このイベント開催の背景には、国家戦略特区として進められている「新宿歌舞伎町再開発計画」成功の鍵となる安全安心を実証する試みもあり、事件や事故の発生は絶対に許されない。嶋崎は、「どんな警備が求められるのか?」の根本要件から考え、「歌舞伎町の過去の爆発的な繁栄を復活させるには、来場者のすそ野を広げる若年層とファミリー層の獲得が不可欠」との主催者側の潜在需要にスポットを当て、「未成年者を守る」というコンセプトを設定。当時、SNSを悪用した未成年者誘拐事件が発生し、誘拐が心配事になっていたため「未成年者の誘拐防止」と「衝突事故などが発生した際の救急措置」に警備の重点を置くことにした。

 歌舞伎町には未成年犯罪を誘発するような場所が沢山ある。そこで嶋崎は、親しくしている国内犯罪心理学の権威である立正大学の小宮教授に依頼し、誘拐シミュレーションを実施して、犯罪が起こる可能性のあるホットポイントを徹底的に洗い出してもらった。担当プランナーにはそれに合わせた警備計画を作成させ警備にあたらせた。それに加え警備員には、転倒など事故が発生した際のターニケット(国内では普及が遅れているが、世界の軍や医療現場に広く浸透している小型簡易止血器具)による止血処置についても学ばせた。

 こちらのイベントも無事終了し、お客様(警備依頼者)の期待に応えることができた。これも依頼者の置かれている環境から広く深くその潜在需要を推察し、具現化するための方策を柔軟に組み立てられるアーク警備システムの真骨頂ともいえる事例である。

 このような実績を積み重ねることで、嶋崎は世の中の様々な安心安全のニーズに対応した警備体制の構築・実行の必要性をより強く感じていき、大和ハウス工業主導の北海道新さっぽろ大規模再開発計画に向けた未来型総合セキュリティプラン策定に乗り出すことになった。そして2020(令和2)年3月、アークのプランに賛同した北海道セキュリティ事業協同組合(伊林代表理事)11社2800人の警備力をベースにした先進的なセキュリティプランを提案。しかしながら、残念なことに、コロナ禍の拡大により再開発の全体計画が見直しとなり、プランの採択に至らなかった。

 現在は、コロナ禍に対処する「都市衛生」の概念も取り入れた新しい安全安心街づくりに取り組み、大手デベロッパー数社と共同研究を進めている。


 

交通誘導現場へのAIロボット(カメラ&ディスプレー)の活用

 

視察したAIロボットの実証実験
視察したAIロボットの実証実験

「先日、山梨県甲州市へ足を運びAIロボットの実証実験を見に行ってきた。片側交互通行において、ディスプレーパネルに映った女性が警備員の代わりをして誘導してくれる面白いシステムである。枝道からの車の誘導等、臨機応変な人の判断がまだ必要で100%オートマチックにはいかないが、人手不足で悩む僻地の幹線道路の工事現場に補助的な手段として使えそうである。当社が警備実施中の相模原市藤野町の甲州街道沿いの工事現場(前田道路株式会社)にて試用すべく現在調整中である」。

進化するテクノロジーを積極的に導入し、警備という保守的な世界にイノベーション(革新)を起こし大きく飛躍しようと、嶋崎は常に考を巡らせている。

 

(藤原 広栄)


 

第5回  7月下旬掲載予定

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