全国警備業協会 育成就労(外国人)制度導入準備
(一社)全国警備業協会は、特定技能の追加指定への要望書を昨年6月政府に提出したが、令和6年3月29日閣議決定によって警備業は追加指定されなかった。そのため、育成就労(外国人)制度を導入する。
(一社)全国警備業協会(以下「全警協」という。)は、警備業界の外国人の人材活用については、全国警備業協会の検討部会において警備業協会加盟員の意向調査、特定技能制度を活用しやすい種別、雇用後のサポート体制などを検討し、2021年にアクションプランをまとめた。
その結果、特定技能制度で活用する警備業務は、雇用後のサポートのし易さと、最も人材不足が深刻な空港保安警備業務から進め、次いで施設警備業務、交通誘導警備業務へ広げて行く構想をもっていたが指定を見送られた。
全警協は、深刻な人手不足の状況に対応するため、2027年から新たにスタートする外国人労働者の育成就労制度の導入に向け準備を進めている。
育成就労制度とは、令和6年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布された。それによって、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を抜本的に見直し、我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設される(育成就労制度は令和6年6月21日から起算して3年以内の政令で定める日に施行)。
この制度の目的は、育成就労産業分野(育成就労制度の受入れ分野)において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することであり、特定産業分野(特定技能制度の受入れ分野)のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なもの(産業分野)が対象となる。
育成就労計画の認定を受けるためには、育成就労外国人ごとに作成する「育成就労計画」の認定を受けることになる。
その育成就労計画には、
① 育成就労の期間(3年以内)
② 育成就労の目標(業務、技能、日本語能力等)
の内容等が記載されたものによって、外国人育成就労機構による認定を受けることとなる。
全警協は、今後育成就労制度の導入に向け、外国人に技能を習得させるための講習内容の確立とその方法、技能(警備業務の技能レベル3級・4級を創設)及び日本語能力の判定(認定)の方法(試験)等の制度設計を行うこととなる。
育成就労制度では、次の技能等のレベルを要する。
○ 日本語能力
外国人材が在留資格「育成就労」で働くためには、就労開始前に以下のいずれかの条件を満たす必要がある。
・ 日本語能力「A1」レベル相当以上の試験に合格する。
・ 認定日本語教育機関などで上記に相当する日本語講習を受ける。
日本語能力「A1」は、日本語能力試験(JLPT)の「N5」に相当し、初歩的な日本語をある程度理解できるレベル。
そして、育成就労から特定技能1号に移行する際には、さらに高度な日本語能力が求められる。継続的な学習が必要な枠組みにすることで、外国人材の日本語能力の向上が期待される。
N1 | 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。 |
N2 | 幅広い場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 |
N3 | 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 |
N4 | 基本的な日本語を理解することができる。 |
N5 | 基本的な日本語をある程度理解することができる。 |