中央最低賃金審議会 令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について取りまとめた
令和6年7月 25 日(木)第 69 回中央最低賃金審議会(会長:藤村博之 独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)において、平成6年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ公表された。
この答申は、今年の6月 25 日に開催された第 68 回中央最低賃金審議会で、厚生労働大臣から今年度の目安についての諮問を受け、同日に「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」を設置し、5回にわたる審議を重ねて取りまとめた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会にお示しするものである。
ランク | 都道府県 |
A | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
B | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、 福岡 |
C | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
答申のポイントは、各都道府県の引上げ額の目安について、Aランク 50 円、Bランク 50 円、Cランク 50 円(注;都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安を提示している。)。
現在、Aランクで6都府県、Bランクで 28 道府県、Cランクで 13 県となっている。
今後は、各地方最低賃金審議会でこの答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなる。
年度 | 時間額 | 引き上げ額 |
2015 | 798円 | 18円 |
2016 | 823円 | 25円 |
2017 | 848円 | 25円 |
2018 | 874円 | 26円 |
2019 | 901円 | 27円 |
2020 | 902円 | 1円 |
2021 | 930円 | 28円 |
2022 | 961円 | 31円 |
2023 | 1004円 | 43円 |
2024 | 1054円 | 50円 |
もし目安どおりに各都道府県で最低賃金が引き上げられれば、全国平均は1054円となり、全国平均の引き上げ額は50円(2023年度は43円)となり、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額となる。また、引き上げ率に換算すると5.0パーセント(2023年度は4.5%)となる。
○ ケーススタデ
◇ 最低賃金額を下回る賃金で雇ってもいい場合はあるの?
地域別最低賃金は、セーフティネットとしてパートタイマー、アルバイ ト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働く全ての労働者とその使用者に適用されますので、原則として最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試の使用期間中の方
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち、厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方
◇ 最低賃金の減額の特例許可を受けたい場合には、どこに申請すればいいの?
最低賃金の減額の特例許可を受けたい場合、使用者は、最低賃金の減額の特例許可申請書(所定様式)2通を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して、都道府県労働局長に提出する必要があります。
詳しくお知りになりたい場合は、最寄りの都道府県労働局労働基準部賃金課室又は労働基準監督署へおたずねください。
◇ 手当が多い月と少ない月では受け取る金額が異なる賃金。どこまでが最低賃金の計算の範囲?
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金なので、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。
◇ 手当が多い月と少ない月では受け取る金額が異なる賃金。どこまでが最低賃金の計算の範囲?
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金なので、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。
【最低賃金の対象とならない賃金】
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
【最低賃金の計算方法】
1. 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
2. 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)
3. 月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
4. 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額)
5. 上記1〜4の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の2、 3の式によって時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。
詳しくは、最寄りの都道府県労働局労働基準部賃金課室又は労働基準監督署におたずねください。(出典;厚生労働省ホームページから)