セコムが開発した最先端技術を搭載したセキュリティロボット
セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:尾関一郎)は、最先端技術を活用して警備業務を行う新しいセキュリティロボット「cocobo」(ココボ)を開発し、6月10日に本社ビルにて公開した。
セコムでは、2002年からセキュリティロボットの開発を進めており、「ロボットができることはロボットで。人がやらなければいけないことは人がやる」というコンセプトのもと、人と融合して警備業務を行うロボットを開発してきた。「cocobo」は現在活躍している「セコムロボットX2」の後継機種で、AI、5G、高解像度カメラ、各種センサー、クラウドといった先端テクノロジーを取り入れ、単に人間の代替になるのではなく、ロボットだからこそできる警備や点検機能を装備した仕様となっている。
システムは、5G・Wi-Fi・LETを利用して「cocobo本体」と警備員がいる「防災センター」をローカルサーバーやクラウドと通信連携。設定されたルートを人や障害物を避けて自律走行。エレベーターを使って複数階を巡回したり、オートゲートを制御して屋外を巡回させることもできる。悪路も走行でき、傾斜のある道なら最大10度、凹凸のある道なら高さ50mmまで対応し、雨天でも走行可能。巡回を終えると自動で充電ポートに戻る。複数台のcocoboを制御することで、効率のいい巡回警備・点検を実現できるという。
「警備機能」の特徴としては、カメラ映像とセンサー情報を解析して、放置物・滞留・転倒者や急病人、人が手に持っている刃物の検知、爆発音や悲鳴等の大きな異常音、ガス漏れ、火災検知のほか、不審者に対しては、音声やライトで警告し煙を噴射して威嚇することも可能。また、施設内の人にLEDディスプレイや音声を使った災害情報の告知や施設案内もできる。
「点検機能」に関しては、アームを装着することでセンサーでは行き届かない場所の確認が可能になる。目的に応じてアーム先端のアタッチメントを交換すれば、ゴミ箱の中や裏、ベンチや自動販売機の下に危険物がないか確かめたり、扉の施錠確認もできる。
cocoboが巡回中に認識した画像はAI処理され、cocobo本体が危険かどうか解析して防災センターに送られる。従来は、ロボットから送られてきた画像を警備員が確認する作業をしていたが、その手間も大幅に軽減されることになる。
デザインのコンセプトは「威圧感を与えず、威厳のある存在感」。そんな難題を抱えてデザインを担当したznug design(ツナグ・デザイン)代表の根津孝太氏によると、センサーやカメラ等、様々な機器が搭載されるので、それらの機能を低下させることなく合理的に配置するのに苦慮。1ミリ単位で調整を繰り返し、みんなの努力があって完成させることができたという。警備ロボットのデザインは初めてだったが、公共空間に調和する自然な存在感、警備の安心感を与える凛としたフォルムに仕上がった。cocoboのロゴは優しく包み込む様子をモチーフにして、SECOMのロゴの「CO」と同じイメージになるように構成。意味は、cognitive(認知) cooperation(協働) robot(ロボット)を組み合わせた「認知と協働のロボット」と、いつも「ココにいるロボット」を掛け合わせたもので、社内で公募し社外関係者によって選考された。
今後、cocoboは常駐警備のサービスとして提供。6月から試験運用を開始し、今冬の市場提供を目指している。また、一昨年に同社が発表した、クラウド技術を活用して立哨警備・受付を行う「バーチャル警備システム」も、今秋に向けて市場提供準備が進められており、セコムのデジタルツインとして市場拡大を図りたい考えだ。
(藤原 広栄)